番組を動画サイトにアップ、どう思う? テレビが面白い理由:田原総一朗VS. 水道橋博士のテレビと著作権(後編)(3/7 ページ)
ソーシャルメディアが普及したことでネット上にテレビ番組についての感想や批評を記す人たちが出てきた。テレビ番組の引用はどうあるべきなのか。田原総一朗さんと水道橋博士が語り合った。
皆が口をつぐんでいる中に1%の自分がいる
――既に終わってしまいましたが、TOKYO MXの「ゴールデンアワー」という番組ではUSTREAMで放送の同時配信を行っていましたよね。BGMもネットで流しても問題ないものを選んだりしていて、結構先進的でした。
水道橋:USTREAMで放送のロングバージョンを流そうというのは、やっぱり出演者の意識が高いからなんでしょうね。それは出演者本人が望んでいるからできることだと思う。番組のプロデューサーもそういう意図をもってその出演者を起用しているはずだし。ディレクターにもそういう教育をしているんでしょう。ただ、出る側としてはそういう番組には緊張感がありますけどね。編集がないから、失言に気をつけないといけない。これからは基本的にオフレコなんてなくなるのかもしれない。
田原:「ここはオンエアしないで」なんて通用しなくなるという。それは面白いね。出演者の意識が変わればテレビ番組がどんどんネットに進出していくということだろうね。僕は社会にこれだけオフレコの話があふれているからこそ僕の存在意義があるんだと思う。オフレコの話がこの世からなくなったら、僕のことなんてどうでもよくなるわけですから。
水道橋:だからこそ燃えるんでしょうね(笑)。そういう田原さんの行動原理は、僕が舞台で放送禁止用語を使って漫才をすることと通底するものがあるような気もします。
田原:うん。だからこそ、そういう舞台も存在しているんでしょうね。
水道橋:僕も田原さんもそうだと思うんですけど、社会を構成する人たち全員突破者で、改革者で、冒険する人であってほしいとは思っていないんですよね。安穏と変化のない生活が一番で、匿名の中で生き、そのほうが安全だと思う人のことも否定しません。だって皆が口をつぐんでいる中に1%の自分がいて、そこを突破することに自分の存在意義があるし、自分の仕事はそれだと思えるわけだから。でもその1%が存在してはならないって勢力が動くことに関しては反発するんです。
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