それはいつか来た道……新たな投資尺度でみる“バブルの証拠”:相場英雄の時事日想(2/3 ページ)
乱高下を繰り返しながらも、東京株式市場の出来高が膨らんでいる。ただ、活況の影で気がかりな事象も現れ始めている。投資家が個別銘柄の売買を決める際の「尺度」について、危うい一面が出始めているのだ。
つまり、個人投資家が個別銘柄を買う、あるいは売る際の目安として、企業がきちんともうけ(利益)を生み出しているのか、あるいは株価が不当に安く放置されているかといったポイントを、それぞれの尺度を用いれば計ることができるという構図だ。
最近暴騰を続ける銘柄群に話を戻す。
本稿は株式投資の専門サイトではないので個別銘柄名には触れないが、インターネットを使った各種サービスを展開する新興企業について、「そら恐ろしい」方法が用いられ、暴騰した株価が正当化されている。ゲームしかり、ネット取引サービスを提供する企業だ。
察しの良い読者は既にお気付きだろう。こうしたネット関連ビジネスで成功し、足元で株価が暴騰している企業の大半は、現在の株価が従来のオーソドックスな尺度では説明できない水準まで騰勢を強めてしまったのだ。
だが、海外投機筋や個人が買いを入れればさらに株価が上がる。このため、企業分析のプロであり、かつ投資家に売り買いの目安を提供するプロであるアナリストが驚くべき方法を編み出したのだ。
いつか来た道
「通常、企業を分析するときは"利益"が基本となる。しかし、昨今のネット関連銘柄は別の尺度でアナリストが分析を始め、客(投資家)に推奨している」とは先のベテラン。
では具体的に、“別の尺度”の中身をみてみよう。新たな目安は、なんとユーザーの数だというのだ。
ネット関連ビジネスのキモは、ユーザー数だ。当欄についても、編集部はPV(ページビュー)を特に気にする。幅広い層の顧客をサイトに集め、サービスや商品を届けるのがネット関連企業のキモなのは間違いないが、この数だけを尺度にするとなると、素人の私がみても相当に危ういと映る。
実際、全うな関係者からはこんな言葉が漏れる。「ユーザーの数さえ伸びていれば、高留まりしている株価も正当化される。たとえ企業そのものが大赤字を抱えていても」(同)という構図なのだ。
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