注力すべきはペイドメディア? それともオウンドメディア?:デジタル時代のマーケッターに問う(後編)(1/6 ページ)
「そもそもデジタルマーケティングとは何なのか」というテーマで始まったパネルディスカッション。失敗事例から業界に求められるデジタルマーケッターのあり方を考える。
インターネットの発達により、マーケッターはデジタル分野でのマーケティング活動にも目配りをする必要に迫られている。6月13日に東京で開催されたイベント「Adobe Digital Marketing Forum」において、「そもそもデジタルマーケティングとは何なのか」というテーマでパネルディスカッションが行われた。
編集部より:
本稿は、パネルディスカッション「マーケティング活動におけるデジタルのあるべき姿とメディアの活用での最も重要な成功の鍵とは?」の内容を基に、編集・再構成したものです。以下、敬称略。
登壇者:
高畑哲平(KDDIウェブコミュニケーションズ 取締役副社長)
甲斐真樹(イー・エージェンシー 代表取締役社長)
モデレーター:
小沢 匠(アドビ システムズ)
→前編「デジタルマーケッターよ、デジタル“だけ”マーケティングをしていないか?」
デジタルマーケティングにおける最適な投資のタイミングとは?
小沢: ふたつ目のテーマに入る前に、ひとつ、おまけのテーマを挟みたいと思います。それは投資についてです。
ここにグラフがあります。縦軸は目標数値。例えば売上や会員数、資料請求数を増やすといったもの。そして横軸は時間の流れです。サービス立ち上げの創業期から始まって、目標数値が格段にあがっていく成長期、それから数字の伸びが横ばいになる成熟期。永続的に続くサービスというのはなかなかありませんので、最後には衰退期というものが必ず来ます。
さて、ビジネスの成長に対してデジタルマーケティングへの投資というものは、どのタイミングで、どれくらいするのが最適なのでしょうか。
高畑: 一般的なマーケティングでも同じですが、このグラフにあるそれぞれのカーブの位置によって採用する手法は異なるべきです。それは各期によってお客さんの質が違うからです。
例えば成長期にあるサービスというと、LINEとか「パズドラ」でしょうか。ガンガン伸びています。でも成長期に入ってくるお客さんと成熟期に入ってくるお客さんでは全然タイプが違っているはずです。例えばリスティング広告を打ち続けて同じ効果がでるかと問われれば、絶対にでないことが簡単に想像できます。
デジタルマーケティングの投資という視点から、一番分かりやすいのはペイドメディアでしょう。リスティング広告やバナー広告が一番響きやすいのは成長期で、かなりの投資をしても伸びる。成長しているので検索する人も増えていきます。ところが、成熟期に入ってくると興味のない人しかマーケットに残っていないという状態になるので、検索をする人は減っていきます。
ここで一番気をつけなければいけないのは、この「投資額」の中には2つあるということ。ひとつは広告費、もうひとつはそれを扱う人の人件費です。成長期にペイドメディアを扱うだけの人をいっぱい集めてしまうと、成熟期で仕事がなくなります。だから成長期の時点で早めにツールや外注、ソリューションにバトンタッチをして最適化の準備をする。人件費を増やさないというのが経営の視点からすると非常に大事になってきます。
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