注力すべきはペイドメディア? それともオウンドメディア?:デジタル時代のマーケッターに問う(後編)(4/6 ページ)
「そもそもデジタルマーケティングとは何なのか」というテーマで始まったパネルディスカッション。失敗事例から業界に求められるデジタルマーケッターのあり方を考える。
なぜデジタルでは上手に使い分けられないのか?
小沢: リアルな生活ではうまく使い分けているのに、なぜデジタルではうまく使い分けられないのでしょうか?
高畑: 甲斐さんが触れていましたが、インターネットの歴史においては紙からの置き換えという側面が強かった。「紙は効果がでないけれども、Webは効果がでるよ」という入り方をしてきたために、どうしてもペイドメディア=インターネットのマーケティング手法だと染みつき過ぎています。それが使い分けを考えなくなったことの要素のひとつだと思います。
小沢: では、うまく使うための第一歩とは何でしょうか?
高畑: 私たちは、いわゆるオウンドメディアというか、もう少し分かりやすい言い方にすると「リピーターを大事にしましょう」という考え方にシフトしました。最初のお客さんをファンにしましょう、ファンになったお客さんが次のお客さんも連れてきてくれるよねっていうのが、オウンドメディアの本筋の考え方だと理解しています。
ペイドメディアというのは、その人の気持ちがどうであれ、お金を投げつけて刈り取ってくるものです。こちらのほうが「瞬間風速」は大きいし、お金を払った分だけの効果がすぐにでるので経営者は飛び付きがちです。だけど、オウンドメディアは少し時間がかかります。でも、これでファンをつかんでいくと効果が落ちない。
ペイドメディアはお金を止めたときがサヨナラの瞬間です。オウンドメディアは投資うんぬんを抜きにして継続していく。このことを経営者が理解することが、最初のステップかもしれませんね。泳ぎ続けなければいけないマグロみたいな活動をやめようということです。
甲斐: 高畑さんと同じように考えています。従来であれば、お金を使うと短期でうまく成果が出てきた。だからプロジェクトの始まりは、経営者が「いついつまでに、これだけの成果を達成しなさい」という形が多い。でも実際には、自動販売機と店員の例のように、お客さんは「そればっかりじゃない」と気づいている。だから、決済権を持つ人には、「長期的な効果と短期的な効果を組み合わせて、ともに追いかけていくのだ」という決断をしてもらいたいですね。
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