撮影現場では何が起きていたの? キリン、話題のCM「カンフースター篇」:仕事をしたら“みんなの夢”をかなえることができた(3/5 ページ)
キリンビールのCM「カンフースター篇」が話題になっている。ネット上では「泣けた」「素晴らしい」といった声が続出しているが、撮影現場ではどのようなことが起きていたのか。撮影に携わった同社の担当者に話を聞いた。
撮影現場で起きていたこと
土肥:今回の撮影は上海で5日間にわたって行われたそうですが、苦労されたことはありますか?
今村:石田さんのすべての夢(48個)をかなえる――という設定なのですが、その中でナルトを投げ、イスを使って戦うシーンがあります。石田さんが足でポンとイスを蹴り上げて相手を倒す、というものなのですが、本番ではなかなかうまくいきませんでした。何度も何度もNGを出してしまって。
その姿を近くで見ていたジャッキーさんが、ちょっとアドバイスをしたんですね。「足だけを使うのではなく、手もうまく使ってみては?」といったことを言っていたと思うのですが、ジャッキーさんの言うとおりにしてみると、うまくいってOKが出ました。
土肥:ほー。ジャッキーさんが、アクション指導をされていたわけですね。
今村:次に、敵が上からモノを投げてくるので、ワイヤーアクションでヒョイッと飛んで、相手を屋根から落とすシーンがあるのですが、ここもちょっと苦労しました。「飛びたい」というのは石田さんの夢なのに、当の本人は高いところが苦手。撮影本番でも表情が硬くて、手足の動きもガチガチ……といった感じでした。
あとジャッキーさんと組み技をするシーンがあるのですが、石田さんは緊張してしまって。何度かNGが出ていましたね。
土肥:それは仕方がないのでは。石田さんはプロの俳優ではないですし、ましてやジャッキーさんは憧れの人なんですから。
今村:ただ、後輩の遊木さんと階段で戦うシーンがありますよね。ここはアクションシーンとしては一番難しいと思うのですが、一発OKが出たんですよ。撮影が始まる前は「一発OKは難しいだろうなあ」といった雰囲気が周囲に漂っていたのですが、見事に成功したので、そのときは全員が立ち上がって喜んでいました。
土肥:あのシーンはプロの俳優でも難しいのではないでしょうか。
今村:だと思います。後輩の遊木さんはアクション俳優をされているのですが、彼も「このシーンは難易度が高い」と言っていました。ただ一発OKが出たのは偶然ではなかったと思います。石田さんと遊木さんは本番直前まで、何度も何度も組み手を練習されていました。当日は朝の6時30分にロケバスに集合だったのですが、2人は6時前にバスに乗って、座席で組み手の練習をしていました。
もちろんロケバスの中だけではなく、滞在先のホテルなどちょっとした隙間時間を見つけて、2人は何度も何度も練習をしていました。こうした影の努力があったからこそ、本番でうまくいったのではないでしょうか。撮影した監督も「これはスゴいことだ!」と驚かれていました。
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