「ベーシックインカム」は人間を幸せにするのか:小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(4)(4/5 ページ)
国の機能があいまいになる中、「ベーシックインカム」に注目が集まっている。国民の生活を、最低限の現金を配ることによって保証しようとする考え方だが、民主主義の方向としてアリなのか?
松井:「高福祉国家」については、どう思われますか?
小飼:結局のところ邪魔するのは国境なんですよ。よくあるのは高福祉国家でビジネスで大成した人が他国に移住しちゃうとかね。でもそれをさっぴいてもなかなかよくやってると思います。例えば、フィンランドとか。
松井:僕は「国家の役割は減らしたほうがいい」と思っています。高福祉国家のフィンランドなどがうまくいっているのは再配分がうまいからですよね。
小飼:ですね。再配分率を考えると日本や米国は、税金が高い変わりに再配分に回る分は多くないんです。例えばデンマークは再配分が本当に上手。ただ、簡単に外国人をデンマーク人にはしてくれません。そこはハッキリしています。無条件に移住して国民になれるわけじゃない。
松井:そう考えると小飼さんが話されたように、ベーシックインカム的な考えもアリですね。
再チャレンジできる社会は必要
松井:仕事をしていると、人事評価をしますよね。そして、評価の低い人は辞めさせられて、替わりにハイスペックな人が来て……ということを何年も繰り返していると人材が均質化するんです。それでも、ある程度は相対評価をしなくてはならなくて、その年たまたま一番下になるのは運不運ということになってくる。成功するかしないかが、運不運によるところが大きいと、つまんないじゃないですか。僕は人材の均質化が、アップルがダメになる1つの理由になるのではと思っています。
小飼:ただ、幸運は幸運として評価したいですよね。そうやって考えると、やっぱりどれほどうまい再分配でも所得税が5割を超えてはいけないと思うんです。だからベーシックインカムを導入して、不運に対するヘッジはしておきたい。
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