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鉄道紀行のカリスマが夢見た「富士登山鉄道」とは:杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)
富士山の世界文化遺産登録が決定した。「富士登山鉄道」はいまだ構想段階で具体案はこれから……といった感じだ。しかし、いまから約20年前に「富士山鉄道・五合目線」を発表した作家がいた。鉄道紀行作家、宮脇俊三である。
宮脇案は「なんとかクルマ利用者をすべて鉄道に乗せてあげたい、でも乗せきれなくて申し訳ない」という考え方である。しかし、私は「輸送量は足りなくていい」と考えている。必ずしも現在のクルマの輸送量をそのままシフトさせなくてもいい。鉄道転換を機会に、ピーク時の入山者を規制するという方策もアリだ。環境を保護するために、ピーク時の富士登山者は減らし、それ以外の時期の富士山周辺観光を盛り上げたほうがいい。富士山鉄道はシーズンオフ時の観光のシンボルにもなるだろう。
鉄道趣味には「仮想鉄道」という遊びがある。架空の鉄道を空想し、会社名や駅名、列車名を考えたり、線路配線図や列車ダイヤを作ったりする。絵心のある人は車両のデザインを描いている。まったくの架空の世界でもいいし、「こんな所に鉄道があったらいいな」でもいい。インターネットが普及すると、仮想鉄道の公式サイトもたくさんできた。恥ずかしながら私も作った経験がある。
富士山鉄道については、いずれ富士急行や山梨県などから、現実味のある具体案が発表されるだろう。私のような趣味人は、その前に「仮想」富士山鉄道を作り上げ、答え合わせの日を楽しみに待つことにしよう。
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