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壮大な“実験国家”米国から何を学べばいいのか:小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(5)(2/4 ページ)
巨大化する企業と弱体化する国家。特に先進国では福祉が国家予算を圧迫し、どこも火のクルマだ。そんな中、本当に国がやるべき仕事とは何なのか。
小飼:米国の個人破産をみると、半分が医療費がらみなんですよ。
松井:病気すると破産する。やっぱり医療は国がやるべきことかなって思いますね。
小飼:民営化に向かないのは、医療と法律に関することですよね。ルールをつくったり、ジャッジをすることは必要。例えば飛行機の安全性に対する規制は増えているので、飛行機が落ちなくなっている。
裁判所も残ると思いますが、その裁判所が決めたことを強制執行する“暴力装置”も必要になりますよね。
松井:警察ですね。
小飼:ただ、そのために原子力空母が10隻もいるのかな、と思います。いまも米海軍は予算だけで全世界海軍の半分くらい持っているんですよね。それでもまだ冷戦のころと比べて総額で半分くらいですが……。
松井:いまは「組織をもっと小さくしろ」と言われています。それは正しい方向だと思うのですが、ジャッジ機能を維持するための暴力装置ということで考えると、いまの10分の1でいい。それでもなお、世界最強です。
小飼:まだまだ世界中の敵と戦うための規模は維持していますが、無理で無駄です。なぜ無理無駄があるかといったら、世界に国家が多過ぎるから。北朝鮮があるだけで空母を手放せない。
松井:米国もそろそろ考え直す時期なのかもしれませんね。
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