鳩山元首相が中国に「友愛」を感じる理由:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
鳩山さんがまたまたダイナミックにやらかした。尖閣諸島に対する中国側の主張に「おっしゃるとおりで」とモミ手で追随するような発言を連発したのだが、なぜ鳩山さんはそんな行動に出たのか。
鳩山さんが掲げる「友愛外交」
まず、ずいぶん前にリタイアされた人がいきなり田中角栄と周恩来の間に「密約」があったなんてかなり眉唾な話をぶちまける。そこへ、「中国の言い分もよく分かる」と元首相にたたみかけさせる。「三戦」(世論戦、心理戦、法律戦)を得意とする中国らしいやり方だ。
いくらルー……いや世間知らずのお坊ちゃんだってそう簡単に操られるかね、と思うかもしれないが、「東アジア共同体構想」なんてヘンテコな考えを掲げているだけに、大方こんな調子で誰かに唆(そそのか)されたののではないか。
「日本が右傾化している今、東アジアの平和のため、お得意の“友愛外交”をビシッと決めてください」
鳩山さんが掲げる「友愛外交」とは、価値観の違いを乗り越えて相互理解を深めることらしい。理念自体は素晴らしいのだが、相互理解のやり方にかなり問題がある。
例えば、中国と鳩山さんが持ち出している「カイロ宣言」は署名もなにもなく、有効性が疑問視されているうえ「尖閣」も「魚釣島」の言及もない。これがポツダム宣言と同じ位置付けだと言い張るのだが、国際社会で日本の軍事境界線が定められたのはサンフランシスコ条約で、ここできっちり尖閣は米国にぶんどられている。
日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。
なんてことを言うと、「いや、日清戦争のどさくさに紛れて日本がぶんどったんだ! 14世紀から魚釣島は中国のものだ」とか反論するのだが、1617年8月、明の沿岸を守る長官が皇帝に納めた「上奏文」の中に、明の支配海域が「尖閣諸島より中国側の台湾の馬祖列島まで」と明言した記述がちゃんと残っている。
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