中国のバブルが弾ける? 巨大リスクが日本を襲う日:相場英雄の時事日想(2/3 ページ)
中国経済が不穏な動きを見せている。先週までに、中国の短期金融市場の指標金利が急上昇し、あわやバブルが弾け飛ぶとの懸念も出ていたのだ。米国発のリーマンショックよりも、中国問題の根っこは深いかもしれない。
1980年代後半にかけ、土地価格の急騰に目を付けた日本の銀行が、自身の勘定だけでなく、系列のノンバンクからも多額の資金を融資し、結果的にバブル景気をあおった事例と基本的な構図が極めてよく似ている。
また、個人向けという商品の性格から、「本来なら住宅を買えるはずのない低所得者層にまで高リスクのローン商品を売りまくった米国のサブプライムローンと酷似している」(先の中国人バンカー)との声も出ている。
実は先週、中国の金融市場は極めて緊張度の高い状態におかれていた。外資系格付け会社によれば、1兆5000億元(日本円で約24兆円)分の非正規金融商品が償還、つまり満期を先週末までに迎えていたのだ。
中国の指標金利である上海銀行間取引金利の翌日物は、通常4〜5%程度で推移していたが、「償還資金を手当てしようとする中国国内銀行が先を争って調達に動いた」(同)ため、一時28%まで急騰する場面があったのだ。つまり、傘下の子会社が発行した危うい商品の満期で支払いが膨らんだため、親銀行の多くが慌てて資金確保しようと短期金融市場に殺到したのだ。
主要な経済紙誌や外電の情報によれば、満期を迎えた証券は再発行や借り換えなどで対応したものが多く、大きな混乱は生じなかったという。だが、いかがわしい商品の清算は先送りされただけ、と言い換えることもできる。バブル崩壊の引き金は、ひとまず回避されたが、問題の根っこはなにも解決していない。
関連記事
- “カワイイ”が自然を殺す、北海道で見た人間の残酷さ
「キタキツネ」といえば、北海道の野生動物のひとつとして有名だ。野生動物なので、本来、人間とはあまり遭遇しないものだが、筆者の相場氏はクルマを運転中に出会った。しかもその姿を見て、違和感を覚えたという。その理由は……。 - 「ピンクスライム」は問題にならないのか 食品業界の裏側に迫る
米国のファストフード業界が揺れている。低価格を支えるある加工商品がやり玉に上がっているが、米当局や専門家は安全性に問題はないとしている。それにしてもこの問題、日本に“飛び火”するかもしれない。 - “やらせライター”に困っている……とあるラーメン店の話
とあるラーメン店の店主がこう言った。「本業以外の雑務が増えてやりにくい。昔はこんな気を遣う必要なかったのに」と。本業とは、もちろん丹誠込めて作る自信作のラーメンのこと。では本業以外とは、一体どんなことなのだろうか。 - 桜宮高校バスケ部キャプテンの自殺の原因は「体罰」ではない
大阪市立桜宮高校で、バスケ部の顧問の教師に暴力を受けていた男子生徒が自殺した。この問題を受け、マスコミは連日のように「体罰」として取り上げているが、どうもしっくりこない。この教師がやったことは「体罰」ではないからだ。 - NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.