学校へ行くメリットが説明できない時代:小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(6)(4/5 ページ)
仕組みをつくる一握りの人が富を握り、中間層の仕事は急速に消えていく。そんな世界の中、果たして教育はどうあるべきなのか。ネット上に教材が溢れ、ちょっと検索すればたいていのことの答えが見つかる中で、大学が果たすべき役割とは……。
小飼:だから「働かざるもの食うべからず」という仕組みをなるべく早く廃止してほしいんです。「とりあえず飢えはしませんよ。でも面白いゲームをしたかったら戦ってください。誰でもフィーチャーフォンは持てますが、スマートフォンを買いたければちょっと頑張ってください」と。
松井:だからといって、ゲームに負けても死ぬわけではない。あと、何回でもトライできたほうがいい。それで、ゲームに負けたら技を磨くとか、修行の場があるといい。ネットの学校でもいいけど、あまりにもそういうインフラがないですよね。日本は負けて再トライを目指す際に自分を再教育する場がほとんどない。
小飼:「海外に行く」というオプションがあるんだけどなあ。
松井:その選択はアリですよね。いざ行ってみるとそんなに大変じゃないというか、大変の種類が違うというか。僕は、日本の中で人間関係に気を遣っているほうがよっぽど大変だと思う。でも海外に行くことを恐怖に感じている人はたくさんいて、外国に行くくらいならココにいたいと。
高学歴の人は「仕組みを維持する側」に回ってしまう
松井:1つの学校に入学してそこを卒業する、というモデルがヘンかもしれませんね。
小飼:「学校を卒業すると、何かいいことあるの?」という質問に対し、本当にさらっと説明できないんですよ。
松井:できませんね。
小飼:逆に学歴で地位を得るのであれば、学士ではダメで、博士が必要でしょう。一方で、中学をまともに通っていない人のほうが強かったりする。
松井:「今後のアップルは大丈夫でしょうか?」とよく聞かれますが、アップルには以前、中卒や高卒の人がたくさんいました。ですが、最近はどんどん減っていて……これって残念だなあと思いますね。
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