ハリウッド映画に登場する「忍者」は、なぜ韓国人が演じているのか:窪田順生の時事日想(1/3 ページ)
「韓国にも忍者がいる」と聞いても、そんなバカなと思う人も多いだろう。いや、韓国にも忍者がいる、というよりもそもそも「忍者」のルーツは朝鮮半島だ、と訴える人たちがいる。またまたご冗談でしょ、と思っていたら、彼らは大マジメなのだ。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
ちょっと前、『GIジョー バック2リベンジ』という映画を見に行ったら、ビックリした。
「GIジョー」の中には、「ストームシャドウ」という忍者が登場する。原作アニメでは、三十代続く由緒正しい忍者の家系で生まれ育った「嵐影富三郎」という日本人という設定なのだが、これをイ・ビョンホンが演じている。
『ドラゴンボール EVOLUTION』の孫悟空だって、青い目の西洋人が演じるハリウッドなんだから、そんな細かいことにイチイチつっかかるなよ、と思うかもしれないが、驚いたのは韓流スターが演じたことではない。キャスティングにともなって「日本生まれの韓国人忍者」という設定に変えられていたからだ。
韓国人忍者――。忍者マニアの韓国人のことかしら、なんて言おうものなら、韓国の方から顏を真っ赤にしてクレームが入る。なんとも釈然としない話だが、韓国にも忍者がいる、らしい。
例えば、2009年に『マトリックス』シリーズを手がけたウォシャンスキー兄弟が『ニンジャ・アサシン』というアクション映画をつくった。読んで字のごとしで、忍者映画で、てっきり、千葉真一や真田広之でも出るかと期待をしたが、演じていたのはここでも韓流スターのRain(ピ)だった。
まあ、それも先ほどと同じ理由で、誰が演じたっていい。
気になるのは、主役が「雷蔵」というどう聞いても日本の忍者にも関わらず、Rainがかたくなにそれを否定し、日本人ではなくて「アジアの孤児だ」とワケのわからん設定を主張。さらに、彼はインタビューにこう答えた。
「韓国にも忍者がいる」
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