サントリーが仕掛ける、マイボトル専用ドリンク「drop」とは?:サーモスと共同開発(2/2 ページ)
サントリーと魔法びん大手のサーモスが共同開発したマイボトル専用ドリンクが10月下旬に発売される。「こだわりのおいしさを楽しめる次世代飲料」とはどのようなものなのか。実際に試飲してみた。
マイボトルの普及を背景に、新しい飲用スタイルを開発
本商品の背景にあるのはここ数年でマイボトルの普及が急速に進んだことだ(参考記事)。サーモスは1904年に世界で初めてガラス製魔法瓶を製品化したメーカーである。現在はガラスではなくステンレス製で、ファミリー用の大きなものではなく個人で持ち歩ける小容量なものが主力。ケータイマグ(マイボトル)は日本国内で、年間約2000万本売れている。
このようにマイボトルは普及が進んでいるが、マイボトルを使うライフスタイルが広がるために足りないのは「好みの飲み物を簡単に補充できる環境の整備」(サーモス樋田章司社長)。サーモスがサントリーに話を持ちかけ、共同開発がスタートした。
「飲料市場は容器の進化とともに拡大・転換してきた。(缶入り飲料、ペットボトルに続き)保温・保冷ができるマイボトルで、おいしい温度が続く『飲用時品質』へ進化する」(サントリー小郷三朗副社長)
サントリーの調査によれば、1週間の総水分摂取量のうち、缶やペットボトルの清涼飲料が34%なのに対し、茶葉やインスタントなど自分でいれる飲料は52%。同社ではマイボトルを使った飲料を新規需要と見込んでおり、市場規模は約1兆円と予想している(缶・ペットボトルの清涼飲料は約4兆円)。
dropの商品開発には、同社の通常の商品と比べてかなり長い、3年を要したという。dropの中期販売計画は、ポーションが年間2億4000万個(サントリー)、専用ボトルが年間100万本(サーモス)。
果たして、“次世代飲料”dropは定着するのだろうか? 記者も実際に発表会会場で数種類飲んでみたが、確かに香りが立っていれたてのようなおいしさが味わえるし、ホットの果汁ドリンクは目新しさもある。缶やペットボトルの飲料と比べれば、確かに次元の違う味といえそうと感じた。専用のボトルが必要になること、1個90円という値段が受け入れられるかといった点が普及の鍵を握るのではないだろうか。また、実際に飲んでみる機会をどれくらい作り出せるかもポイントになりそうだ。
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