英語だけではダメ? 海外で活躍するために必要なこと――田村耕太郎さんの話:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(1)(2/6 ページ)
「グロバール化に対応するために、英語を勉強しなくては」と考えている人も多いだろう。ビジネスパーソンにとって英語力アップは大きな武器になると思うが、本当にそれだけでいいのだろうか。海外事情に詳しい識者に、グローバル人材になるための方法を聞いた。
日本人のパスポート取得率は低い
田村:「23%」――。この数字は何を意味していると思いますか? グローバルに展開しているコンサルティングファームや投資銀行などへの就職を考えている人は、面接でこのように聞かれたらすぐに説明しなければいけません。いかがでしょう?
――い、いきなりそう言われても、分かんないよ……会場に詰めかけていた人たちの間に、そんな空気が流れた。それにしても23%って何だろう? ここ数年、未婚率が上昇しているので、その数字かな。いや、定年まで同じ会社で働く人の割合かな。
田村:この23%という数字は、日本人全体の中でパスポートを持っている人の割合です。年間、日本人の約1500万人が海外に行っていますが、だいたい同じ人が渡航していると言えるのではないでしょうか。このパスポートの取得率……世界的に見て多いと思いますか? 少ないと思いますか?
――陸地に国境がある国の人はパスポートの取得率が高いはず。しかし日本と同じ島国では20〜30%くらいでは?
田村:食料やエネルギーを自給できるカナダで60%、島国の英国で70%なんですよ。ちなみにG7で日本とブービー争いをしている国はどこだと思いますか? 米国のパスポート取得率は30%ほど。つまり、米国と日本は世界の“ニ大田舎モノ”とも言えるでしょう。ただ、米国の場合は移民で成り立っているので、国内に世界があるようなもの。ガラパゴスもあれほど大きくなると、ガラパゴスでなくなるんですね。
世界で最も大きい都市圏は「東京」。東京、神奈川、千葉、埼玉を合わせると、約3000万人が住んでいます。この数字はニューヨークや上海よりも多いのですが、外国人は少ない。外国から日本に帰ってくると、いつも「日本人しかいないなあ」と感じてしまう。円安になったので外国人が増えましたが、それでも「外国人がたくさんいる」とは思えません。海外の都市圏だと、誰が外国人で、誰がその国の人なのか、よく分かりませんよね。日本は均質性を高めて競争力をつけてきましたが、グローバル時代のいまとなっては、その長所が短所になったのではないでしょうか。
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