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青木宣親、屈辱のトライアウトからはい上がったメジャーリーガー:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/7 ページ)
日本人メジャーリーガーとして、イチローに次ぐ200安打を達成しそうなのがブルワーズの青木だ。エリートの地位を捨て、夢を追い海を渡ったオトコがいた。
ポスティング後にまさかのトライアウト
青木が米メディアやメジャー関係者の間で大きく評価されているのは「安打製造器」と評される打撃能力だけではない。「全盛期のイチロー以上」とも言われる選球眼の良さだ。
ブルワーズにはジーン・セグラ(2番)、ライアン・ブラウン(3番)、ジョナサン・ルクロイ(4番)、アラミス・ラミレス(5番)とメジャー屈指の強打者が控えている。1番の青木に相手バッテリーの厳しいマークが集中する中、7日現在で三振はわずか19個。これはリーグ最少だ。見逃し三振もわずか4個しかない。厳しいコースを突かれながらも高い打率と出塁率をマークし、しかも三振が少ないとなれば、ここまで絶賛される理由も分かるはずだ。
そして、もっと特筆されるべきなのは現在の成功を手に入れるまでのプロセスだ。青木は2012年1月にポスティングシステム(入札制度)によってブルワーズへ移籍。しかし実はここでスンナリと入団が決まったわけではなかった。この制度で交渉権を250万ドル(約2億5000万円)で落札したにも関わらず、ブ軍は青木を米国の球団施設に呼び寄せ、なんと「トライアウト(入団テスト)」を実施。使えるようならばそれなりの額を払うが、そうでなければ小額で買い叩くか、あるいは契約を見送るつもりで実力の見極めを行ったのだ。
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