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開通から70年……山陽本線関門トンネルの“寿命”が近づいている杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

本州と九州を結ぶトンネルは4つあるが、その中で最も古いのが山陽本線の関門トンネルだ。戦時中の開通から70年。着工から77年。修繕にも限界をきたし、新たなルートが必要となっている。

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 もし鉄道側が独自に新ルートを作るとすれば、他に方法がないわけではない。山陽新幹線の新下関―小倉間を、青函トンネルのような在来線対応の線路にして貨物列車を運行すればいい。新幹線の東京―新大阪間は過密だが、広島から小倉まではダイヤにゆとりがある。貨物列車を1時間に1本走らせられるかもしれないし、夜間に集中して走らせてもいい。しかし、これで解決できる列車は貨物だけだ。普通列車の運行は難しい。新ルートから外れる門司地域が衰退してしまう。これが問題だ。

 本州と九州をつなぐ事業は、地元自治体だけの便益計算ではダメだ。国家の骨格づくりとして、国をあげて整備しなくてはいけない。道路交通と鉄道交通のバランスを考慮し、モーダルシフトによる自動車輸送の減少を視野に入れる必要があるだろう。ただちに鉄道関係者も関門新ルート計画に合流し、道路関係者と共同で国へ働きかけていくべきだ。

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