なぜ「グローバル」と聞いて、不安を感じるのか:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(2)(4/6 ページ)
「グローバル」という言葉をメディアで目にしない日はない。変化のスピードが速い時代に、私たちはどのように対応すればいいのだろうか。海外で活躍してきた、田村耕太郎氏に話を聞いた。
「世界と戦う」と決めたら、早く準備せよ
土肥:企業に、海外拠点を設置する上で、直面している課題を聞いたところ「グローバル化を推進する国内人材の確保・育成」がトップでした(経済産業省のグローバル人材育成に関する調査)。日本はバブル経済が弾け、経費節減の影響で海外に出張する人が減りました。また海外に留学する学生も減少傾向にあります。こうした背景があって、グローバル人材が育ちにくくなっているのではないでしょうか。
田村:もうそんなことは言っていられない時代ですよ。今は、膨大な数のユーザーあるいは機器が常にネットワークにつながっている「ハイパーコネクト」時代なので、世界中の人と競争しなければいけません。「世界と戦う」と決めたら、早く準備をして、日本を出なければいけません。
これまでの日本人は国内にいる1億人と勝負していればよかったのですが、これからは世界にいる70億人と勝負しなければいけなくなる。「チャンスは70倍になる」と思う人もいるかもしれませんが、グローバル社会の中では優れた人にだけチャンスが集中します。
世界で戦うには、がんばらないといけません。自分の新しいポジションを見つけたり、新しいマーケットを見つけたり、新しい商品を開発したり、新しいサービスを提供したり。大きなマーケットで勝負をするのは楽しいと思いますが、他人には負けていないと思っていた自分の力が、今後どうなるかは分かりません。若い人が多い新興国が、今後どうなるかは分かりません。そういう前提を認識したうえで、自分で決断していかなければいけません。繰り返しになりますが、海外を見ないで決断するのは非常に危険。日本に残るにしても、世界を見ていないと、今後の日本がどうなっていくのかがよく分からないと思う。日本だけ見ていれば大丈夫という時代ではないので、一度は海外に行ってみてください。
土肥:とはいえ、「グローバル」と聞くだけで、萎縮する読者はまだまだ多いと思います。
田村:そんなに怖いですかねえ。ワクワクしている人も多いのではないでしょうか。
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