なぜJR北海道でトラブルが続くのか:杉山淳一の時事日想(1/7 ページ)
JR北海道で車両火災などトラブルが頻発している。車両の新旧や該当箇所もまちまち。共通の原因を見つけ出すとするなら、それは車両ではなく運用だ。JR北海道は昨年、整備体制の不備を会計監査院に指摘され、国土交通省から業務改善命令も受けていた。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
JR北海道で列車の運行に支障が出る事故が頻発している。特に2013年7月は多く、6日に特急「北斗」のディーゼルエンジンが破損し潤滑油をまき散らしながら走行して出火。14日に快速電車「いしかりライナー」ではゴムが焦げたような異臭が発生。15日に特急「スーパーおおぞら」の配電盤から出火、緊急停止装置も作動しなかった疑いがある。22日に特急「スーパーとかち」のエンジンから白煙、原因はピストン排気弁の破損だった。
このほかにも、17日には長万部(おしゃまんべ)駅で特急「スーパー北斗」が乗客の腕を乗降扉に挟んだまま発車し、気づいた車掌が緊急ブレーキをかけている。乗降扉が人の腕ほど開いていればセンサーが働き、車体側面や運転室のランプで分かる仕組みのはずだが、センサーが動作していなかった。19日に江差(えさし)線の普通列車の車輪が空転し立ち往生、レールに砂をまいて脱出している。朝露が原因との見方もある一方、他の列車は無事通過しているため特定に至らず。また、6月には函館本線で踏切の遮断機が完全に降りない状態で普通列車が通過した。原因は列車を検知するための信号を流すケーブルが落ちていたからという。
7月6日の「北斗」の火災が大きく報じられ、それが国鉄時代からの古い車両だったから、当初は車両の老朽化が原因という見方もあった。しかし「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」はJR北海道発足後の比較的新しい車両である。また、原因箇所もエンジンや配電盤と共通しない部分だ。
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