大学7年生の学生が、途上国に“最高の授業”を届けられた理由:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(4)(6/7 ページ)
教師不足に悩む途上国に、DVDなどを使って“最高の授業”を届け続ける男がいる。早稲田大学の7年生、税所篤快さんだ。20代半ばの税所さんは、どのようにして世界各地の教育危機を救ってきたのだろうか。
口説き落とす力
土肥:3つの力の最後は「口説き落とす力」かなと。税所さんは海外の先生を次々に口説いて回られた。手当たりしだい……ではなく、「この人は!」と思った人を口説き落とされた。日本でも難しいことなのに、海外でこれを成功させたポイントは何でしょうか?
税所:とにかくシンプルに物事を伝えることを心がけています。先生に会うときには、必ず自分が最初に書いた本(『前へ ! 前へ ! 前へ !――足立区の落ちこぼれが、バングラデシュでおこした奇跡。』)を持参しています。なぜこの本かというと、写真がたくさん掲載されているから。写真を見れば理解できるようにしているので、説明は簡単な英語ですむんですね。
土肥:「シンプルに伝えたほうがいい」って、どこで学ばれたのでしょうか?
税所:米倉先生ですね。高校2年生のときに聞いた、米倉先生の話は本当に面白かった。物事をどうやって伝えれば分かってもらえるのか――といったことも教えてもらいました。あと、ボクは予備校に通っていました。そこの先生の話も分かりやすかった。こう言ってはなんですが……高校の先生の話は全く面白くなかった。なぜ面白くなかったかといえば、分かりやすく説明していなかったからと思うんですね。
土肥:なるほど。
税所:ドイさんは、ボクには「3つの力がある」と指摘されました。「教えてもらう力」「実践する力」「口説き落とす力」――。自分はスポーツが得意でもなく、勉強がものすごくできるわけでもありません。そうした得意分野を持っていないので、「自分のやりたいことは何か?」を常に考えてきました。そして「人と違うことをやる――つまりイノベーションを起こして、自分の価値を生み出したい」という思いが強くなりました。
土肥:確かに、税所さんはこれまで他人がやらなようなことをやってこられました。そのアイデアはどのようにして湧いてくるのでしょうか?
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