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高齢者は本当に「暮らしていけない」のか?――データで見る高齢者のフトコロ事情(3/3 ページ)

先日、高齢社会フォーラムに参加し、内閣府の平成25年度高齢社会白書の説明を受けました。その中から、今回は高齢者の実態に迫りつつ、高齢者世帯の経済状態を紹介します。

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貯蓄現在高階級別、世帯分布

 貯蓄額の全世帯の平均は1664万円ですが、65歳以上の平均は2257万円です。全世帯と高齢者の貯蓄額がほぼ等しくなるのは、1000〜1200万円です。それより多額になると、高齢者世帯が全世帯の割合を上回ります。

 高齢者の貯蓄額で一番多くを占めるのが、4000万円以上の16.1%ですが、全世帯では100万円未満が11.2%を占めています。65歳以上の世帯の40.4%は2000万円以上の貯蓄がありますが、全世帯では26.2%です。65歳以上の人の貯蓄が多いのは、退職金と仕事に就いている間の貯蓄の累積です。

 内閣府の「高齢者の経済生活に関する意識調査」(平成23年)では、60歳以上の男女に、貯蓄の目的を聞いています。回答の1番は「病気・介護の備え」で62.3%を占め、「生活維持のため」は20.0%で、両者を合わせると82.3%になります。なお、貯蓄のない人は2.8%です。

経済的な側面と社会全体から見て「高齢者は弱者でなく、強者」

 なぜ、年金を減らす、あるいは医療費の自己負担を増やすということを検討すると、メディアは「暮らしていけない」と答える人を取り上げるのか分かりません。むしろ、高齢者への優遇策を止めようと訴える報道があってしかるべきと考えます。

 ただし、高齢者の中でも恵まれない人たちがいることは他の世代と同様です。したがって、全世代に渡る本当の弱者への施策は必要です。しかし、高齢者全体を弱者とすることは真実を誤らせてしまいます。

 これにより、世代間格差是正の必要性も分かってもらえるのではないかと考えています。(吉野充巨)

 →吉野充巨 バックナンバー

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