JR東日本さん、その卸値、安くない? Suicaのビッグデータ騒動:杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)
JR東日本がSuicaによって取得したデータを他社に提供したことが、問題になった。個人情報保護よりも、Suicaなど会員制ビジネスがもたらすお金の仕組みはどうなっているのか。やり方によっては、大きなビジネスチャンスになりそうだ。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
すでに定着した言葉に異議を唱えても仕方がないが、「ビッグデータ」という単語は実態に即していない。単なる大容量データという意味なら「ラージデータ」と同義語のように思える。しかし、いま流行りのビッグデータは違う。インターネットサービスの利用や消費生活などによって、個人が生産するデータの集合体をビッグデータと呼ぶ。それなら、小さなデータ、つまりミクロなデータを寄せ集めた「マクロデータ」のほうが正確だ。「ビッグ」という、一見分かりやすく、かつ不明確な言葉を使うから、かえって「怪しい」という印象になる。
それはともかく、JR東日本はSuicaで取得した乗客の動向データを市場調査用として日立製作所に販売している。日立製作所はそのデータを基に、駅の利用者の傾向などをまとめた市場調査用レポートとして加工し、企業向けに販売するという。価格は10駅ぶんで年間約500万円だ。これが個人情報の売買にあたる可能性があると報道されている。JR東日本は個人特定の恐れはないと釈明し、Suica利用者のうち、希望者にはデータ提供をしない処置をとると発表した(関連リンク)。
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