JR東日本さん、その卸値、安くない? Suicaのビッグデータ騒動:杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)
JR東日本がSuicaによって取得したデータを他社に提供したことが、問題になった。個人情報保護よりも、Suicaなど会員制ビジネスがもたらすお金の仕組みはどうなっているのか。やり方によっては、大きなビジネスチャンスになりそうだ。
さらに大きな金が動く「大人の休日倶楽部」
JR東日本にはもうひとつ、大きな集金システムがある。会員制の旅行倶楽部「大人の休日倶楽部」だ。満50歳以上が入会できる「大人の休日倶楽部ミドル」と、男性は満65歳以上、女性は満60歳以上で入会できる「大人の休日倶楽部ジパング」がある。どちらも専用のクレジットカードへの契約が条件となり、ミドルの年会費は2000円(ほかにカード会費500円)、ジパングの年会費は3670円だ。
ミドルはJR東日本とJR北海道の乗車が何回でも5%割引、ジパングは同じく30%割引。他に旅行商品の割引や、JR東日本と北陸地域が4日間も乗り放題となる「大人の休日倶楽部パス」を1万7000円で購入できる。ほかにも数々の特典があり、すぐに会費の元は取れる。
さて、この「大人の休日倶楽部」の会員数は、2013年3月に160万人を超える見込みと発表されていた(参照リンク)。ミドルとジパングの内訳は公表されていない。仮に半分ずつとして、年会費収入は45億3600万円となる。会費だけで毎年45億円以上の収入だ。これだって組織維持のために諸経費はかかるだろうが、会員のために列車を増発する必要はないから経費は少ない。閑散期に向けてオトクなツアーやきっぷを提供すればいいし、そこでも売り上げがある。
これだけの組織になれば、会報誌の広告収入だってそれなりだろう。こちらもSuicaと同じく、会員、JR東日本ともに大喜び。誰も損をしない良好なモデルだ。私も入会できる年令になる日を楽しみにしている。「大人の休日倶楽部」の入会パンフレットを見るたびに「早くジジイになりたい」と思ったりする。
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