JR東日本さん、その卸値、安くない? Suicaのビッグデータ騒動:杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)
JR東日本がSuicaによって取得したデータを他社に提供したことが、問題になった。個人情報保護よりも、Suicaなど会員制ビジネスがもたらすお金の仕組みはどうなっているのか。やり方によっては、大きなビジネスチャンスになりそうだ。
「ビッグデータ」と「マクロマネー」をビジネスに生かせ
こうして見ると、他の会員カード型ビッグデータビジネスはヌルい。私はSuicaのほかにPontaカードとTカードをよく使うけれど、PontaとTカードは無料で発行される。実にもったいない。100円くらいのデポジットを預かってもバチは当たらないだろう。Pontaは昨年11月に会員数が5000万人を突破している。これは無料で作れるからとも言えるが、100円のデポジットを取れば50億円を運用できた。もっとも、PontaもTカードも、無料カードの次のステップとしてクレジットカード会員を用意している。そもそもデポジットというビジネスモデルではないのだろう。
会員制ビジネスの会費については、ちっとも新しいビジネスモデルではない。組織が大きいほど、募集する企業が大きいほど大きなカネが動く。そんななかで、Suica騒動は「従来の会員制ビジネスに加えて、ビッグデータという新しいもうけ方があるよ」と示してくれたわけだ。これは十分に参考になる。会員制ビジネスを展開する企業は、JR東日本のSuicaビッグデータ騒動がどのように収束していくか、注目していることだろう。
ところで、こうして見ると、Suicaの会員制ビジネスで動くお金に対して、Suicaビッグデータの販売価格って、ずいぶん安いような気がする。何百億の運用資金がある一方で、せっかく集めた貴重なビッグデータを、日立製作所が約500万円単位で売っている。
JR東日本さん、その卸値、安すぎませんか?
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