麻生氏「ナチス発言」騒動の本質は、「ナチスの手口」を学ばないと分からない:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
麻生副総理の「ナチス」発言を受け、批判が広がっている。問題発言が多い政治家だけに、どうしても「またかよ」と感じるかもしれないが、今回の発言を振り返ると、大騒ぎするほどのことではない。むしろ問題は……。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
麻生太郎副総理の「ナチス」にまつわる発言※(参照リンク)をめぐって、国内外で「辞任すべきだ」とか「安倍政権はファシズムだ」とかやいのやいのと盛り上がっている。
あまたの舌禍事件を起こしている御仁だけに、どうしても「またかよ感」が強いが、発言を振り返ってみると、大騒ぎするほどの話ではない。
聴衆の多くがネット上でファシストと揶揄(やゆ)される憲法改正急進派の方たちなのでブラックジョーク的な趣もあるが、「手口」という表現からも、ご本人が釈明しているとおり「悪しき例」として取り上げているのは明白だ。
「ナチス憲法」なんて存在しないし、「ん?」という部分もあるが、それらを全て勘案しても「ナチス礼賛」という解釈には無理がある。
発言の一部を切り抜いてツギハギし、「問題発言」として火をつけ海外メディアに叩かせる。その反応を“逆輸入”してさらに騒ぐ。「慰安婦」発言で攻撃された橋下徹大阪市長(関連記事)や、「南京大虐殺はなかった」発言で叩かれた河村たかし名古屋市長らに用いられたおなじみの“言葉狩りスキーム”だが(関連記事)、ただひとつ、これまでと大きく違う点がある。
橋下市長も河村市長も自身の「歴史認識」を披露して叩かれたが、麻生氏の場合はまったく異なるテーマを取り上げている。
それは、「プロパガンダ」(情報操作)だ。
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