コカ・コーラのようなマーケティングが、日本でできない理由:仕事をしたら“会社に足りないモノ”が見えてきた(5/7 ページ)
とあるコンサルティング会社が発表した「企業のブランド価値」ランキングによると、「コカ・コーラ」が13年連続でトップ。日本企業を見ると、トップは「トヨタ」で10位どまりだ。Neo@Ogilvyの山崎浩人さんは、コカ・コーラはある特徴的なマーケティングをしているという。それは……
日本企業は企業価値を高めようとしない
山崎:東日本大震災後ですね。震災後、消費者の価値観は大きく変わりましたし、多くの企業は「企業価値を高めなければならない」と感じ、悩まれていました。でも、結局はほとんど変わりませんでした。
土肥:それはなぜですか?
山崎:企業価値を高めるためには、長いスパンで考えなければいけません。しかし、最近は効率性、ROI(投資収益率)などといったところに議論が集中しています。このほかにも、組織や人、予算といった理由もありますが……。
土肥:四半期で企業価値を高くしてよ……そんなことできますか?
山崎:難しいですね。
土肥:でも日本企業の言い分も分かりますよ。景気が悪いのに、そんな目に見えないモノにお金は出せない。10年先のことよりも、明日のパンですよ。あと「企業価値が高まった」としても、その指標が難しいのではないでしょうか。価値を高めることによって、具体的な数字がほしいですよね。そんな事例ってありますか?
山崎:では「シャングリ・ラ ホテル」の話を紹介しますね。ホテルというのは独自色を出すのが難しいのですが、シャングリ・ラは「見知らぬ人でも家族のように(接する)」というメッセージを打ち出しました。シャングリ・ラのゲストは出張中のビジネスパーソンが多い。出張は時に人を孤立させ、孤独を感じさせます。シャングリ・ラが、ゲストをキング(王様)のようにおもてなしするのではなく、ファミリー(家族)のようにおもてなしをすれば、孤独な旅はもっと居心地の良い旅になる――とブランドの理想像を再構築しました。
そしてシャングリ・ラは、ひとりの男が雪山を歩いているクリエイティブをつくりました。下の写真は、そのシーンですね。
土肥:狼が出てくるので、この男は襲われるのでは? と思いますよね。でも最後には、狼たちがその男性を温めてくれる。
関連記事
- なぜコンビニは人気のない「エッグタルト」を売り続けるのか
ローソンでスイーツの販売データを見せてもらった。それによると「エッグタルト」はあまり売れていないのに、店頭に並び続けている。人気のない商品は消えていくはずなのに、なぜ「エッグタルト」を売り続けるのか。 - なぜ人は駅で買い物をするのか? 潜在意識を分析した
何気なく歩いていて、ついつい買い物をしてしまった。こんな経験をしたことがある人も多いのでは。なぜ人は移動中に買い物をしてしまうのか。生活者の購買行動などを分析している「ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター」の担当者に話を聞いた。 - エキナカ自販機の売上が、伸びている理由
自販機市場が低迷する中、売り上げを伸ばしている会社がある。そのひとつが「東日本ウォータービジネス」社だ。同社はエキナカに自販機を展開しているが、どのようにして売り上げを増やしていったのか。そのナゾに迫った。 - あなたの会社のWebサイト&SNSは、成果を出せていますか?
ブランド認知などの目的でWebサイトやSNSを運営する企業は多い。しかし、充てている人員やコストに見合う効果が出せているかと問われると自信がない企業が多いのではないか。そんなとき良い目安になるのがWeb分析だ。ツールは導入しているが活用できていないという企業に向けたアドバイスを、小川卓さんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.