「共感」は緊張を和らげ、「質問」は達成を後押しする:絶対に達成する技術(1/3 ページ)
共感とは、相手の緊張を和らげ、こちらの質問を受け入れてもらえる状況をつくるもの。質問とは、相手の中にある答えを引き出すために行うものです。
集中連載「絶対に達成する技術」について
本連載は、永谷研一著、書籍『絶対に達成する技術』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
あなたは「いつも目標を達成する人」は、どんな人だと思いますか? 根性がある人、負けず嫌いな人……、いろんな人を思い浮かべるかもしれませんが、目標を達成できる人とは特別な能力を持った人ではありません。
目標達成とは、根性論や気合いとは無縁の、単なる「技術」なのです。やる気があるかどうかも、関係ありません。やり方を知っているか、知らないか。それだけです。つまり、「すごい人」や「才能に恵まれた人」だけが使えるものでははなく、誰でもマスターできるということです。そして、一度その方法を身につけると、そこから少しずつあなたの可能性が広がっていくのです。
本書では、目標を達成したい、少しでも自分を成長させたいと願う多くの前向きな人たちに向けて「5つの技術」をやさしく解説しています。さまざまな企業で「目標達成」の研修を行い、それぞれの人の「目標設定」と数カ月後の「実際に達成できたのか」のデータをのべ1万人以上にわたって分析したプロフェッショナル・永谷研一が、“絶対に目標達成できる技術”を教えます。
著者プロフィール:
永谷研一(ながや・けんいち)
発明家、株式会社ネットマン 代表取締役。
1966年静岡県沼津市生まれ。東芝テック、日本ユニシスを経て、99年4月、学校や企業の教育にITを活用した「学び合う場つくり」を提供する、株式会社ネットマンを設立。
心理学や行動科学などの豊富な知見をベースに、教育用ITシステムの企画や開発、運営を行う。また、日立、三菱東京UFJ銀行、旭化成グループ、楽天、キヤノンMJといった企業での「目標達成」「習慣化」などの研修を行うほか、明治大学、東海大学などでキャリア開発研修の講師を務める。
人材育成系のITシステムで日本初の特許のライセンス保持者。2005年特許出願。2007年日本で取得完了。2012年米国にて取得を成功。
2001年よりケータイを活用した授業システムを提供しているパイオニアであり、現在佐賀県武雄市教育委員会のiPad利活用教育のアドバイザーなどでも活躍中。
NPO人材育成マネジメント研究会理事長も務める。日本の元気を取り戻すべく教育イノベーションを提唱し、全国に未来を創る教育イノベーターを生み出すことに注力している。
緊張を和らげ、相手に聞く耳をもたせる「共感の技術」
ビートたけしは番組冒頭の登場シーンで、よく「ズッコケ芸」をやります。何もないところでコケる、一発芸です。見ているほうは、つい笑ってしまいます。ビートたけしは、メインのトークを、気持ちよく聞かせるために「まずコケて、笑わせている」のです。
人は他者と向かい合ったとき、緊張しています。どんなに仲のよい相手であっても、その日最初に会ったときは、無意識に緊張しているのです。
人と人がコミュニケーションを取ろうとするとき、最初にこの緊張状態をほぐす必要があります。緊張状態のままでは、何を話しても相手の耳に入っていかないのです。そこで、目標達成におけるフィードバックの技術としても、「共感」が必要になります。
「共感」の目的は、「相手の緊張を和らげ、質問を受け入れる状況をつくる」ことです。フィードバックの本分は「質問」です。質問によって相手に気付きを与えることです。しかし最初は誰でも、その「質問」を聞こうとはしていません。緊張状態なのでうまく聞こえないのです。そこで緊張をほぐす必要があります。
共感の技術
- 目的:相手の緊張を和らげ、質問を受け入れる状況をつくる
(1)関心を示し認める
(2)共通の話題を出す
具体的に見てみましょう。まず、(1)の「関心を示し認める」の例です。
「素晴らしい活動ですね。お客さまも、さぞかし喜んだことでしょうね」
「さすが○○さんです。このやり方は○○さんにしかできなかったでしょうね」
「相当悔しかったんですね。そう思う気持ちも分かります」
これらの例はすべて、相手の行動や態度、感情に対して「私はあなたを認めていますよ」「あなたの気持ちは分かりますよ」と伝えています。これによって相手は受け入れられた気分となり、緊張がほぐれます。
このように「共感」とは、相手のありのままの事実を受け入れる大らかな態度なのです。
次に、(2)の「共通の話題を出す」の例です。
「私の部署でも同じ問題にぶつかっている人がいます。問題は○○とのことです」
「その件は、テレビでも話題になっていますね。そのニュースは○○ですね」
「私も英語の勉強をしているんですよ。参考書は○○がいいですね」
これらの例は、相手の行動に対して共通している事柄の情報を提供しています。例えば同じような仕事の経験、自分のやっている工夫点を伝えたりします。
目標達成とは、最終的には1人ひとりが個別に目指すものですが、共通することの情報があると「自分はひとりじゃない」と勇気付けられるのです。
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