日本で起きている皮肉な現象とは――留学生と採用の関係:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(6)(1/6 ページ)
日本人の留学者数が、ここ数年減少している。このまま留学生の数が減っていけば、「海外の企業に勝つことが難しくなるのでは」と危惧する人物がいる。その名は、人材紹介などを手がけるディスコの夏井丈俊社長だ。早速、夏井社長に話を聞いてきた。
仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた:
グローバル人材とは、どのような人を指すのだろうか。総務省のグローバル人材育成委員会では、このように定義している。(1)主体的に物事を考え、多様なバックグランドをもつ同僚、取引先、顧客などに自分の考えを分かりやすく伝える(2)文化的・歴史的なバックグランドに由来する価値観を乗り越え、相手の立場に立って理解する(3)相手の強みを引き出して、新しい価値を生み出すことができる――。
分かったような、分からないような。そんな人って、本当にいるの?――このような受け止め方をした人も多いだろう。とにかく会社からはTOEICの点数を上げろと言われているので、とりあえず英語を勉強する。外国人と英語で仕事ができれば、グローバル人材になれるだろう……といった“なんちゃってグローバル君”にならないためには、どうすればいいのか。
本連載「仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた」では、海外で活躍してきた先人たちの声を紹介していく。厳しい環境の下で、結果を出してきた人から学ぶべきことはたくさんあるはずだ。トップバッターは、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出しているシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた田村耕太郎さんに話を聞いた。次に、国際教育支援NPO「e-Education」で代表を務める、税所篤快(さいしょ・あつよし)さんに登場していただいた。
いきなりだが、下のグラフを見ていただきたい。
これは日本人の海外留学者数を示したものだ。パッと見て分かるように、近年は2004年をピークに6年連続で減少。2010年は5万8060人と1995年の数字を下回る結果となった。
もちろん若い人の人口が減っているので、一概に「内向きな若者が増えている」とは言い切れない。ただ、このまま留学生の数が減っていけば、「海外の企業に勝つことが難しくなるのでは」と危惧する人物がいる。その名は、人材紹介などを手がけるディスコの夏井丈俊社長だ。
夏井社長は米国で8年間のキャリアを持ち、グローバル人材を軸に事業を展開してきた。その彼が、なぜ留学生の数に注目しているのか。Business Media 誠編集部の土肥義則が話を聞いてきた。
日本人留学生が減っている
土肥:夏井社長は「日本人の留学生の数」に注目されていますよね? 私も気になって、ちょっと調べてみました。そうすると、2004年をピークに6年連続で減少している。しかも2010年の数は、15年前の水準。「そりゃあ若者の人口が減少しているんだから、仕方ないよ」といった声もあるかと思いますが、それにしてもここ数年の減少は急激すぎる。この動きをどのように見られていますか?
夏井:米国への留学者数の推移をご存じですか? 2001年は年間4万6810人だったのですが、2010年には2万1290人――つまり、この10年で半分以下になってしまいました。ドイさんはこんな言葉を耳にしたことはありませんか? 「グローバル化に対応するために、海外経験のある学生を採用したい企業が増えてきた」と。
土肥:あります。
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