インタビュー
日本で起きている皮肉な現象とは――留学生と採用の関係:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(6)(3/6 ページ)
日本人の留学者数が、ここ数年減少している。このまま留学生の数が減っていけば、「海外の企業に勝つことが難しくなるのでは」と危惧する人物がいる。その名は、人材紹介などを手がけるディスコの夏井丈俊社長だ。早速、夏井社長に話を聞いてきた。
ボディーブローのように徐々に効いてくる
土肥:米国の大学の学費が高騰している。その一方で、日本人の年収は減少してきた。その結果、留学生の数が減ってきた。この理屈は分かるのですが、それのどこが問題なのでしょうか?
夏井:さきほども申し上げましたが、いま多くの企業から「海外経験が豊富な学生を探している」といった声をうかがっています。グローバル市場に展開しようと思っている企業にとっては、必要な人材ですよね。でも、留学生の数が年々減少している日本では、そうした企業が求める人材が不足しているんですよ。
国際感覚というのは、“座学”では絶対に身につきません。その感覚というのは、海外に住むことによって育まれる。特に、若い人たちの考えは柔軟なので、海外経験によって多くの刺激を受け、そこでいろいろな“気づき”を得られるはず。そうした貴重な経験は、将来、海外で仕事をする上で、大きな“武器”になるんです。
土肥:うーん。国や政府は「産学官でグローバル人材の育成を」などと訴えていますが、若者の心には響いていないようですね。笛吹けど踊らず……といった状態。
夏井:グローバル市場の中で、海外で活躍できる人材がほしい。そういった状況なのに、日本の若者は海外に出ない。このした動きは、今後、ボディーブローのように徐々に効いてくるのではないでしょうか。
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