日本で起きている皮肉な現象とは――留学生と採用の関係:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(6)(4/6 ページ)
日本人の留学者数が、ここ数年減少している。このまま留学生の数が減っていけば、「海外の企業に勝つことが難しくなるのでは」と危惧する人物がいる。その名は、人材紹介などを手がけるディスコの夏井丈俊社長だ。早速、夏井社長に話を聞いてきた。
日本で働く外国人が増えてきた
土肥:海外留学生が日本で働くケースが増えてきました。内から外だけではなく、外から内にやって来る人に期待してもいいのではないでしょうか。
夏井:これまでの日本企業は「え? 海外の留学生を採用する? そんなこと考えてないよ」といった感じでした。でも、いまは違う。日本に来ている留学生だけでなく、海外の学校に出向いてでも“採用したい”という企業が増えてきました。今後もこうした企業は増えていくと思いますし、日本で働く外国人も増えていくでしょう。でも、問題も……。
土肥:問題? それはどんなことでしょうか?
夏井:日本企業が海外の学校に足を運んで、優秀な生徒たちに「ぜひ、弊社で働いていただきたい」と訴えても、なかなか興味を示してくれないんですよ。なぜなら彼らはとても優秀なので、就職先は米国か欧州しか考えていない。
土肥:その問題は根が深そうですね。じゃあ、海外の優秀な学生を日本の大学に来てもらえればいい。そうすれば彼らが卒業するときに、日本で働いてもらえる可能性が高くなる。いわゆる“歩留まり率”を高くして、優秀な人材に、日本で働いてもらう考えですね。
しかし日本の大学は、海外の大学に比べて留学生比率が低い。また外国人教員の比率も低い。「日本の大学がグローバル化に対応していないので、大学全体の国際的な評価を下げている」といった声もあります。
例えば、ハーバード大学の大学の留学生比率は19.2%ですが、東京大学は8.5%。外国人教員の比率は、ハーバード大学が29.5%なのに、東京大学はわずか5.4%しかいないんですよ。この数字を見る限り、「日本の大学に来てよ」と訴えても、なかなか来てくれませんよね。ここでも、笛吹けど踊らず……状態。
夏井:日本には少子化問題があるので、企業は外国人をどんどん採用しなければいけません。そこそこ優秀な人材は確保できると思うのですが、超優秀な人材は米国や欧州にとられてしまう。この問題をなんとか解決しなければいけません。
あと、若くて優秀な人材を採用しなければいけない一方で、定年延長の問題がある。また、新卒で就職できない人が年間10万人ほどいるのに、外国人を積極的に採用し続けていいのかという問題もある。気がつけば、「主軸は外国人」ということになるかもしれません。
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