日本で起きている皮肉な現象とは――留学生と採用の関係:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(6)(6/6 ページ)
日本人の留学者数が、ここ数年減少している。このまま留学生の数が減っていけば、「海外の企業に勝つことが難しくなるのでは」と危惧する人物がいる。その名は、人材紹介などを手がけるディスコの夏井丈俊社長だ。早速、夏井社長に話を聞いてきた。
握手をして“ヘナっ”となってはいけない
土肥:夏井社長は米国で8年間、働いてこられました。最後に、海外で働くうえでの心がけのようなものを聞かせていただけますか?
夏井:現地の言葉を不自由なく使えることは、必須ですね。米国で言えば、もちろん英語。でも語学ができるというだけではなく、結局のところ「場慣れ」が必要になってくるのではないでしょうか。
私は背が低いので、米国人を目の前にすると、圧倒されるんですね(笑)。図体のでかい人が出てくると、見上げなければいけないので、それだけで気負けしてしまう。さらに米国は握手文化なので、彼らと握手しなければいけません。握手をしたとき、彼はギュっと力強く握ってくるので、そのとき“ヘナっ”となってはいけません。
土肥:ははは。
夏井:骨が折れるのでは? と思うくらい、彼らは強く握ってくる。しかし、そこで負けてはいけません。こちらも強く握り返して、相手に「おぬし、やるな」と思わせなくてはいけない。なぜこんなことを言うかというと、海外で仕事をするということは「違うスポーツをする」ということ。こちらはボクシングをしているつもりでも、相手はキックボクシングのつもりで戦ってくるかもしれません。なので日本人はその国のルールに従って、キックボクシングで戦わなければいけないんですよ。
広報H:ドイさん、そろそろお時間です。
土肥:お、予定時間を30分もオーバーしました。夏井社長、本日はありがとうございました。
夏井:いえいえ、こちらこそどうも。
――といって、夏井社長はドイに握手を求めてくる。そして、強く握り締めてくる。
土肥:いててててて。
夏井:ドイさん、いま“ヘナっ”てなりませんでしたか? (笑)
土肥:な、なりました、ヘナって……。自分は海外で働くのが難しいのかな(苦笑)。
(終わり)
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