万年筆ってイイね! 老舗メーカーを動かした1本の衝撃動画:新連載・それ、ちょっと気になる!(1/3 ページ)
1本の万年筆が上下左右に動きまわり、1枚の絵を描き上げた。イラストレーターの名前はSHOHEI、万年筆の名前は「ジャスタス95」という。
連載「オカちゃんの『それ、ちょっと気になる!』」とは?:
Business Media 誠編集部には毎日、数百件のニュースリリースが舞い込みます。その中から、「何だか、それ、ちょっと気になる!」と思ったネタを、いわゆる「団塊ジュニア」と定義される最終年に生まれたアラフォー編集者オカダが仕事と趣味を兼ねて取材します!
「万年筆」――この筆記具について読者のみなさんはどんなイメージをお持ちだろうか? 古臭い? 年配の趣味人が使う高級文房具? 使いこなすのがちょっと難しそうで、とっつきにくい? まずは次の動画を見てほしい。
先端に何やら怪しげなギミックが付いた1本の万年筆。滑らかな曲線を次々と引いていったかと思うと、男は万年筆を縦横無尽に走らせていく。あっという間にリアルな松の木が描き上がった。次のシーンでは、これまた細かなディテールを持った蝶が描かれる。最終的にはどことなく和風テイストを持ったパンクなモーツァルト(?)がそこにいる。何なんだ、これは!?
万年筆が欲しいと思う20代の若者に届かせるには?
「とにかく『万年筆で書くということは、とても気持ちいいものなんだ』ということを伝えたかったのです。それも圧倒的なクオリティとインパクトをもった動画で」
こう語るのは、パイロットコーポレーションでこの動画プロモーションを仕掛けた古謝さんだ。実際のところ、万年筆が売れるのは50代以上の男性が中心。だが、同社が2012年5月に、20代から50代までの男女800人を対象として実施した意識調査によれば、「万年筆が欲しい」と最も思っている世代は20代(男性29.1%、女性29.5%)だった。
20代、30代の人たちの琴線に触れるにはどうしたらいいのか? その答えの1つがWeb動画だった。いわゆる達人と呼ばれる人が何かを書きあげていく様子を見ることは「何だか気持ちいい」という感覚につながる。動画に登場する達人みたいに上手には書けないけれども「自分もやってみたい」という気分にさせる。筆者もまた、古謝さんらの思惑にはまった1人のようだ。
この作品を書きあげたのはイラストレーターのSHOHEIさん。普段はボールペンでリアルな絵を描く同氏が手にしたのは、パイロットが今春発売した「ジャスタス95」という万年筆。作画時間は21時間。プロの手にかかると万年筆1本でここまでできるんだという不思議な感動を覚える。
関連記事
- 彫り後に金箔――1本70万円、パイロットの蒔絵万年筆
パイロットコーポレーションは、1本73万5000円の万年筆「Namiki 虎」と「Namiki 牡丹」を発売する。日本伝統の漆芸沈金技法を施している。 - 文房具カフェで感じた、ビジネスに通ずる差別化戦略
6月15日にオープンした「文房具カフェ」に行ってきました。新規サービスや製品を考える際には、来て欲しい顧客を起点とした切り口を加えることが大切だなあ、とつくづく思ったのでした。 - 文具王たち文具好き6人が選ぶオススメ文具19個、一挙公開
5回にわたって公開してきたスマート文具座談会も今回は最終回。文具やガジェット好き6人が持ち寄ったお勧めグッズを紹介します! - 万年筆のような電子ペンが欲しい!
文具やガジェット好き6人による座談会の第3回。手書き文字をデジタル化するツールの1つである電子ペンを彼らはどう見ているのでしょう?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.