どうしてみんな転職しないんだろう?――ハフィントンポスト日本版の松浦茂樹編集長:働くこと、生きること(前編)(2/2 ページ)
「語るべきことがある人たち」の発信の場として、5月にスタートした「ハフィントンポスト日本版」。編集長である松浦茂樹さんに、「働くこと」について聞いた。
どうしてみんな転職しないんだろう?
ライブドアに入ったのは、本人いわく「ミーハーなノリ」だったのだとか。
「堀江(貴文)さんに会ってみたかったんです。2004年の夏前だったので、まだ彼の知名度は一般的にはそこまでないころですね。僕が入った前後に近鉄バファローズの身売り騒動があって、いきなりそこから彼の人気に火がつき始めました。だから、よくも悪くもいいタイミングでした。会ってみたらやっぱりおもしろい人だったし、頭の回転の速さがすごく印象的でしたね。今年に入ってから再会したんですが、覚えていてくださったのでうれしかったです」
ライブドアではポータル統括シニアマネージャーとして「BLOGOS」「TechWave」「MarketHack」を誕生させるなど多くの仕事に携わり、以後もコンデナスト・デジタル社で「WIRED.jp」を運営、グリーでは「GREEニュース」などを統括した。現在の「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社」は9社目となる。転職回数が多いが、職を変えるたびに実積を残している印象があるのも事実だ。
「確かに、職歴は多いですよね。でも転職については個人的に、『どうしてみんな転職しないんだろう?』ぐらいの考え方なんです。これだけ回数を重ねてきたから抵抗感はないし、自分のやりたいことをやるのが一番だと思ってるんで、それを追い求めた結果でしかないんですよ。いろいろ言う人は言うでしょうし、言われたこともあります。でも、今の生き方は結果につながっていますし、別に僕自身はなにも気にしていません」
仕事って、いつでもなくなってしまうもの
そんな考え方に通じる働き方を意識するようになったのは、先述した社会人1年目のときだった。
「その年に所属していた宇宙開発事業部がまるごと売りに出されて、職場がなくなったんですよ。そこで感じたのは『仕事って、いつでもなくなってしまうものなんだな』っていうこと。最終的に生きられるか否かは自分の実積次第だって感じたので、そのタイミングで働き方を意識しました」
その働き方は今後、「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」にどのような影響を与えていくことになるのだろうか。
(後編へ続く)
松浦茂樹 (まつうら・しげき)
ザ・ハフィントン・ポスト日本版 編集長
1974年北海道札幌市生まれ。東京理科大学工学部経営工学科卒業後、大手自動車会社の宇宙開発事業部にて人工衛星のシステムエンジニアとしてキャリアスタート。その後ライブドアではポータルサイトの統括、コンデナストで日本版「WIRED」のウェブエディター、グリーで「GREEニュース」などを担当。2013年3月より現職。
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