生きているうちに「ごめんなさい」と言えなかった:人が死ぬときに後悔する34のリスト(1/2 ページ)
死を意識する病気にかかっている患者が、大切な人に謝れなかったことを悔いる場面に接してきました。私には、そうした患者の思いが痛いほど分かります。なぜなら私も、母に「ごめんなさい」と言えなかったことを今でも後悔しているからです。
集中連載「人が死ぬときに後悔する34のリスト」について
本連載は、川嶋朗著、書籍『医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。
明日死ぬとしたら、あなたは人生を後悔しない自信がありますか? 人はいつ死ぬか分かりません。もしかしたら明日、いや、今日死んでしまうかもしれないのです。そのときに後悔をしても手遅れです。だからこそ、生きているいま、やるべきことをやらないといけないのです。
「なぜ生きたいのかを真剣に考えてこなかった」「やりたかったことができなかった」など、本書では、人が死ぬときに後悔することを34のリストにして紹介しています。来るべき死を他人事ではなく、自分にも必ず訪れる人生の義務のようなものととらえ、今生きている人たちが後悔なく、納得して人生をまっとうするためのヒントを提示しています。
著者プロフィール:
川嶋朗(かわしま・あきら)
東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、医学博士。漢方をはじめとするさまざまな代替、伝統医療を取り入れ、西洋近代医学と統合した医療を担う。
「理想的な死とは何か」を考え、QOD(クォリティ・オフ・デス=死の質)を充実させることを提案。『医師が教える幸福な死に方』『すべての病は「気」から』ほか著書多数。
亡くなった母が教えてくれたもの
私はこれまで、死を意識する病気にかかっている多くの患者が、大切な人に「ごめんなさい」と言えなかったことを悔いる言葉に接してきました。
私には、そうした患者の思いが痛いほど分かります。私自身、尊敬し、愛していた母に「ごめんなさい」と言えなかったことを今でも悔いているからです。
私と母との永遠の別れは突然やってきました。当時私は北海道大学医学部の学生で、卒業試験と4月の医師国家試験を控えていたため、正月の帰省もそこそこに下宿に戻って勉強をしていました。母が亡くなる前日に、いつものように電話で話したことを覚えています。
「国家試験終わったら帰るから、その前に掃除と引っ越し、よろしくね」
前夜にそんな会話を普通に交わしたあとですから、翌日の夜中に弟からかかってきた電話の内容を、まったく受け入れることができませんでした。
世界でいちばん大切な母の死は、私にかなりのダメージを与え「人は必ず死ぬのだ」ということをイヤというほど実感させました。
もし、あの悲しい経験をしていなければ、真の意味で患者や家族の痛みを理解することはできなかったと思います。
母の死という体験を通して、医者として、肉親の死に際に直面している患者の家族の気持ちに寄り添ってあげることができるようになったのです。
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