ローカル線を救うのは誰か? アニメファンを無視してはいけない:杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)
『ポケットモンスター』や『ワンピース』など、人気キャラクターをあしらったラッピングトレインが運行されている。しかし最近、アニメキャラクターと鉄道のコラボに新しい要素「聖地訪問」が加わった。観光客を呼ぶ新たな手法として注目されている。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
全国の第3セクター鉄道はほとんどが赤字で、人口減にともなって減収傾向にある。そんななかで明るいニュースが報じられた。石川県の第3セクター「のと鉄道」の2012年度決算で、鉄道事業部門の売り上げが前年度を上回った(参照リンク)。利用者数は67万7000人と前年比より3.5%の減少。しかし、旅客運輸収入は前年比より0.8%増えて1億5539万7000円となった。定期利用者は減ったが、団体旅行客など単価の高い定期外利用者が増加し、売上増となった。
定期外収入の要因のひとつが、アニメ『花咲くいろは』のファンによる「聖地訪問」だったという。のと鉄道によると、2012年度の定期外利用者は約20万4000人で、前年度比で約1万7000人の増加。団体利用者数は約3万6000人で前年度とほぼ同じ。このことから、『花咲くいろは』関連の集客は約2万人と捉えている。この2万人は、売店で販売するアニメ関連グッズも買ってくれた。その結果、売店事業は前年度比116.6%の大幅増となった。もしかしたら、アニメファンがローカル線を救うかもしれない。
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