最初は売れなかった? これまで語られなかった「じゃがりこ」の裏話:これからの働き方、新時代のリーダー(前編)(4/6 ページ)
「じゃがりこ」といえば、カリカリ・サクサクした独特の食感が特徴だ。カルビーが1995年に発売して以来、ロングセラー商品となっているが、開発秘話はあまり知られていない。開発に携わった担当者が多くを語らなかったからだが、18年経った今、当時の裏話を打ち明けてくれた。
テスト販売の結果
甲斐:いえ、いえ、トントン拍子ではありません。「若い人たちに愛される商品にしたい」という想いがあったので、最初はキャラクター商品にしたかったんですよ。ただ、キャラを使うと、どうしてもお金がかかってしまう。また新商品のために工場をつくる必要があったので、初期投資に莫大なお金が必要になることが分かってきました。なので「キャラにお金をかけるのは止めよう」ということになりました。
キャラは使えなくなりましたが、若い人たちに愛される商品にしなければいけない。そこで「じゃがりこ」というネーミングを考えました。じゃがいも素材であること+ガリッと歯ごたえのある食感を表現しました。あと、一度聞いたら忘れない、みんなから愛されるようなかわいらしい語感を意識しました。
プレゼンの席でそれを発表したところ、「『じゃがりこ』という響きはかわいいけれど、商品の中身が分かるようなモノにしてくれませんか? 例えば『じゃがスティック』のような」といった声がありました。
で、そのようなネーミングでテスト販売しました。しかも今のような丸型のカップではなく、箱型。なぜ丸型ではなかったかというと、新しいパッケージをつくってもらうために、またコストがかかってしまうから。できあがった商品を見たときには、私たちが最初に狙った“かわいらしさ”から少し離れたものになりましたが、とにかくテスト販売することになりました。
土肥:で、売れたのですか?
甲斐:残念ながら、売り上げはいまひとつ……。結果を受けて、「さて、どうしようか?」という話になりました。この段階で、多くの企業はあきらめるんですよ。でも、カルビーはあきらめませんでした。原点に返って、ネーミングとパッケージを組み立て直して、今のような形になりました。そして「じゃがりこ」というネーミングで、再びテスト販売したんですよ。
その結果、爆発的に売れました。最初は新潟県と長野県で販売していたのですが、あまりに売れたので、生産が追いつかなくなりました。できるだけ早く全国販売したかったのですが、そのためには工場のラインを新しくつくらなければいけません。生産スピードが追いつかないので、一気に全国発売という形ではなく、徐々に広げていきました。
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