最初は売れなかった? これまで語られなかった「じゃがりこ」の裏話:これからの働き方、新時代のリーダー(前編)(5/6 ページ)
「じゃがりこ」といえば、カリカリ・サクサクした独特の食感が特徴だ。カルビーが1995年に発売して以来、ロングセラー商品となっているが、開発秘話はあまり知られていない。開発に携わった担当者が多くを語らなかったからだが、18年経った今、当時の裏話を打ち明けてくれた。
ロングセラーになった要因
土肥:必ずしも成功とは言えなかった「じゃがりこ」ですが、そこであきらめずに挑戦して、爆発的に売れることに。そして18年経ったいまでも、コンビニなどの棚に並ぶロングセラー商品になりました。この要因はどのように見られていますか?
甲斐:ヒット商品というのは「バランスがよくないと生まれない」と思っています。お菓子でいうと、まずおいしくなければいけません。これは大前提ですよね。私たちが「スティック状の商品をつくってください」と訴えても、それがおいしくなければダメ。消費者は1度は買ってくれるかもしれませんが、2度目はありません。
次に、そのお菓子がおいしくても、どんなパッケージにするか、どんなネーミングにするか、どんな広告にするかによって、ヒットするかどうかが違ってくると思っています。その商品にあった世界観を体現できて、初めてヒット商品が生まれるのではないでしょうか。
土肥:世界観を体現できる? もう少し具体的に教えていただけますか?
甲斐:それを持つことを楽しんだり、その時間まで楽しむことができる。例えば、お菓子であれば買って「おいしい」と感じるだけじゃなくて、その時間も楽しむことができる。1人でも多くの人がそう感じてくれると、その商品はロングセラーになるのではないでしょうか。
土肥:単に食べるだけでなく、ハッピーになってもらいたい?
甲斐:そう信じたいですね。あるスーパーマーケットの前の道を歩いているとき、こんなシーンに出くわしました。お母さんと小さな子供が歩いていて、突然その子供が転んで泣き始めたんですよ。そのとき、お母さんが「あとで『じゃがりこ』を買ってあげるからね」と言ったところ、その子供は泣きやみました。このシーンを見たとき、商品を通じて“自分も少しいいことをしたのかもしれない”――そう感じましたね。
土肥:おお、それはいい話ですねえ。
甲斐:そのお母さんと子供に「ありがとうございます!」と声をかけようかな、と思いました(笑)。
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