台湾で「なめこ列車」が走っていた――日本でもどう?:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
人気キャラクターでローカル鉄道を活性化する。それは日本だけではなかった。台湾のローカル線でも観光キャンペーンでキャラクターとのタイアップが行われており、なんと今年は日本のゲームキャラクター「なめこ」が採用された。その経緯と効果を聞いた。
期待通りの成功だった
事前の期待通りの成果はあった。日本のスタッフがキャンペーン初日に現地視察したところ「なめこのぬいぐるみを抱えた子供たちや若い女性グループなど、日本とほぼ同じ構成のファン層が集まっている印象を受けた」という。初日だけに熱心なファンが集まったとも言えるが、その熱心なファン層の盛り上がりから、全体的な成功を予感できるともいえる。日本からわざわざ訪れる「なめこファン」も多かったようで、検索すると訪問記のブログをいくつも見かける。主催者側の期待のひとつが達成された。
ところで、日本の鉄道会社とはコラボレーションしないのだろうか。現時点では決まった話はないという。余計なおせっかいかもしれないが、なめこの生産地と鉄道を絡めたコラボレーションを考えてみた。
林野庁によると、2011年度のなめこの国内生産量は約2万5000トン。生産額は約90億円。主な生産地は山形県鮭川村、西川町、大江町、新潟県十日町市、津南町、新潟市、長野県中野市、岐阜県飛騨市、北海道愛別町とのこと。
これらの地域に近い鉄道といえば、奥羽本線(山形県新庄駅付近)、左沢線、飯山線、ほくほく線、高山本線、石北本線あたりである。ローカル線活性化という意味では、左沢線、飯山線、ほくほく線あたりでなめこラッピングトレインを走らせたら面白そうだ。
産地にこだわらず、なめこキャラクターの色あいと列車の車体色で考えると、阪急電鉄や能勢電鉄、嵐電の26号車や27号車が似合いそうだ。富士急行のリバイバルカラーも茶色とクリーム色だったが、現在は京王電鉄時代の塗色になっている。さて、日本で「なめこ列車」を見られる日は来るだろうか。
関連記事
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を
被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。 - あなたの街からバスが消える日
バスは鉄道と並んで、地域の重要な移動手段だ。特にバスは鉄道より低コストで柔軟に運用できるため、公共交通の最終防衛線ともいえる。しかし、そのバス事業も安泰ではないようだ。 - なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前が
秩父鉄道の踏切で自転車に乗った小学生が電車と接触して亡くなった。4年前にもこの踏切で小学生が亡くなっている。なぜ事故は防げなかったのか。踏切に関する政策を転換し、「安全な踏切」を開発する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.