街の“資源”を使って何が生まれたのか? まずは「そば」、そして:これからの働き方、新時代のリーダー(後編)(3/6 ページ)
大阪の北東に位置する「交野市(かたのし)」をご存じだろうか。人口約7万人のいわゆるベッドタウンだが、ここで行政と市民がタッグを組み、これまでにない試みに挑戦している。それは……。
おいしい水をブランドに
土肥:甲斐さんは、具体的にどんなことをされているのでしょうか?
甲斐:その前に、ひとつ質問を。ドイさんって、水道水を飲まれますか?
土肥:いえ、飲まないですね。ミネラルウオーターを買って、それを飲んでいます。
甲斐:多くの人は、ドイさんのようにされているでしょう。でも、この街の水道水はおいしくて、そのまま飲めるんですよ。
土肥:まさか。
甲斐:水道水の7〜8割は井戸水なんですよ。市内に大きな井戸が16本ほどあって、足りないぶんについては、淀川の水を使っています。昨年、新しい浄水所ができて、そこでは微生物を使ってろ過できるシステムを導入したので、より自然に近い形で水道水を飲めることができるんですよ。
水道水がおいしい――。これをブランドにさせるためにはどうすればいいのか。他の自治体でもやっていますが、水道水が入ったペットボトルを販売することにしました。それだけではなく、「地下水を使って、そばをつくろう」ということになりました。
おいしいそばをつくるためには、おいしい水がなければいけない。そばを打つときには水が必要ですし、ゆでるときにも必要になる。もちろん栽培するときにも、たくさんの水が必要です。地元の水を使って、そばをつくる――。これが実現すれば、ひとつのストーリーができて、ブランド化するのではないかと思いました。
土肥:とはいえ、そんなに簡単にできるものなのでしょうか?
甲斐:テーブルの上で「これやろうよ」「こんなのやりたいよね」という人はたくさんいます。幸いにも、中学の同級生が中心になって「失敗してもいいから、とりあえずやってみよう」ということで、動き始めました。
知り合いに畑を借りて、道具を集めて、とりあえず栽培することができました。みんなが動いている間、私は、そういう活動をどのようにすれば街のブランドとして落とし込むことができるのか。そんなことを考えていました。
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