街の“資源”を使って何が生まれたのか? まずは「そば」、そして:これからの働き方、新時代のリーダー(後編)(4/6 ページ)
大阪の北東に位置する「交野市(かたのし)」をご存じだろうか。人口約7万人のいわゆるベッドタウンだが、ここで行政と市民がタッグを組み、これまでにない試みに挑戦している。それは……。
大学の主役はあくまで市民
土肥:で、そばはできたのですか?
甲斐:昨年秋に実験栽培をして、そばが育つことが分かりました。
土肥:味はどうでしたか?
甲斐:それが想像以上においしくて。地元のそば屋さんも驚いていました。「このそば粉だったら使える」とも言ってくれました。
土肥:なるほど。そうした経緯があって、おりひめ大学では「そば学科」がスタートしたのですね。「水道水がおいしい」というのは、そばだけに限らず、他にも応用が効きそうですね。
甲斐:交野市には醸造会社が2社あるんですよ。街に醸造会社が2つもあるのは珍しく、そこの2社の協力もあって「醸造学科」をスタートさせる予定です。市民がお米づくりから体験して、お酒づくりを学ぶ。それだけでは他にもあると思うので、大学では商品開発も学ぶ予定にしています。
土肥:ほー、それは珍しい。「お酒づくりを体験」といった事例はたくさんありますよね。自分たちでつくったお酒を飲む、といった感じで。残念なのはそこで終わってしまうこと。でも、大学では商品開発まで学ぶことができるのですね。
街でつくったそばを食べ、街でつくったお酒を飲む――。これはなかなか“粋”ですね。うまくいけば、そばとお酒を販売することができるかもしれない。事業化を視野に入れていらっしゃいますか?
甲斐:大学の主役はあくまで市民。そこに集まった人たちが、考えて決めるべきだと思っています。このプロジェクトは「地域活性化」が目的であって、商品化が目的ではありません。私のような立場の人間が、「じゃ、こういうプランでやっていきますので、みなさん付いてきてください」というやり方はしません。
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