転職が大変になっている――転職したい人が対処すべき2つのポイント:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
「人が採れなくて困っています」と嘆く人事担当者が多い割に、以前に比べて転職が大変になっているのをご存じでしょうか。なぜ採用が難しくなっているのか、そして転職したい人が対処すべきポイントとは?
転職したい人が対処すべき2つのポイント
企業は「人が欲しいのに採れない」と困っています。一方で転職マーケットと呼ばれる場所では「なかなか採用されない」と悩んでいる求職者がたくさんいるのも事実です。要はミスマッチが起きている。もう、いまさらいわなくても、誰もが分かっている状況。しかし、企業は思ったように人が採れなくても、採用のハードルを下げようとはしない。むしろ選考を複雑化することで、より慎重に採用することに舵を切り、ハードルはさらに上がっているのが最近のトレンドです。その原因は来週整理することにして、では、転職を希望する人は、この状況にどう対処すればいいのでしょうか。ポイントは2つあります。
1つは「自分自身の価値を客観視すること」です。転職マーケットに出てきて、やみくもに応募して落ち続けている人たちの多くは、自分の価値を客観視できていないケースが多い。履歴書による書類選考なんてカビの生えたような仕組みだなと、私も思いますが、半面、その企業は「自社で勤めるにふさわしい履歴」を求めているからこそ、それで企業は判断しようとしている、というシンプルな理解が大切なのです。会えば実力は伝わるとか、履歴書には書いていないけれどポテンシャルは自分にはあると思い込んでも、それは多くの場合独りよがりになってしまいます。
2つめは「情報をしっかりと集めること」。転職したいと活動を始めて上手くいかない人の多くは、情報を持たずに、それこそまったくの手ぶらで現れる。例えば、同業他社に転職を考えているなら、そこに勤めている人を、なにかしらのツテをたどって探して、情報を集めることなどたやすいはずなのですが、それができない。先ほど企業は採用のハードルを下げないと書きましたが、希求度が上がれば話は別です。とにかく1人、穴があかないように探してくれ! と従業員に通達が回ることもあるのですから。その時こそ、狙い所ですよね。どの程度のスペックが必要なのか、どんな人なら働けるのかなど、知っておくべき情報はたくさんあるのですが、それを集めることをしない人は、当然転職は上手くいかない。
自分の価値が分かっていない人は、転職に向いていない!
裏を返せば、自分の価値が分からない、もしくはおそらく転職マーケットでは評価されないと自覚していて、さらに、情報を収集する程度の人脈すら持っていない人は、まず「転職すべきかどうか」を考えるべきでしょう。そして、できることなら転職しないで済む方法を検討してほしいなと、切に願います。さて、来週は「どうして企業は人が採れないと悩むのか」という話に展開していく予定です。
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