「ほこ×たて」のヤラセはやっぱり「下請け」が悪いのか?:窪田順生の時事日想(1/3 ページ)
「ほこ×たて」がヤラセで放映中止になった。ドラマチックすぎる展開もあったので「やっぱりなあ」と思った人もいるかもしれない。筆者の窪田氏は、今回の問題でひとつ驚いたことがあるという。それは「フジテレビの手際の良さ」だ。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
「ほこ×たて」がヤラセで放映中止になった。
以前からドラマチックすぎる対決もちょいちょいあったので、「そりゃそうだよなあ」とさほど驚きもないのだが、今回ひとつだけビックリしたことがある。
フジテレビの手際の良さだ。
10月20日に放映された特番内の「ラジコンカーVSスナイパー」が、事実と異なる編集がなされた、と出演者の広坂正美さんが所属会社のWebサイトで告発したのが、23日。直後から調査を行って24日の夕刻には放映中止を発表。ご丁寧に、放送倫理・番組向上機構(BPO)に報告までしている。
7年前、系列局の関西テレビで起きた「発掘!あるある大事典」の時はヤラセを告発した週刊誌が世に出てから番組中止決定までかかった時間は4日。あの苦い経験を教訓としていらっしゃるのだなと感心する一方で、以下のような情報まで迅速に流されているあたりに、なにかしらの「意図」があるのではと勘ぐってしまう。
石川綾一プロデューサーが現在海外出張中の広坂さん、模型メーカーの社長、制作会社スタッフに電話でそれぞれ事情を聞き、広坂さんの言い分が事実だと確認。(スポーツ報知)
この対決は、番組制作会社の40代男性ディレクターが撮影、編集を担当。編集された映像は、フジテレビのプロデューサーがチェックしていたが、おかしな点は見当たらなかったという。しかし、調査に対し、ディレクターが映像を入れ替えたことなどを認めた。(読売新聞)
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