“立ち読み禁止”にしたら売り上げ伸びた:とあるコンビニオーナーの経営談議(2/3 ページ)
コンビニが立ち読みを黙認している理由として、「ついでに買い物してくれる」とか「深夜時間帯の防犯対策になる」というのがあるが、はたしてそれは本当だろうか? 筆者が経営するコンビニで、実際にコミックを立ち読み禁止にしてみた。
立ち読みできないようにするには……
店内において、お客様に対する“禁止”事項は表示してない。“禁止”という文字はそれだけパワフルなのだ。例えば、◯◯“禁止”と書くのは、事故につながる可能性がある場合、他のお客様に迷惑が生じる場合だけで、店舗の都合による“禁止”というのは基本ありえないというのが長年接客業をしてきた筆者の信条である。よって、今回もPOPなどで、“立ち読み禁止”と書くことは最初に除外した。
“禁止”POPの掲出を避けるために、立ち読みができない環境にするしかなかった。
そこで考えられるのは、本屋などで実施しているシュリンクパック(コミックに巻いてあるセロハン状のモノ)を用いた方法だが、専用シュリンクパックは運用コストが高い。
立ち読み禁止にするのをあきらめかけたとき、ホームセンターで梱包用のラップを見つけた。これなら、運用コストを低く押さえられる。コミックに巻きつけるように梱包し、陳列。100%ではないが、こうしてコミックの立ち読み禁止を開始した。
立ち読みを防ぐことで得られるメリット
当然ながら、コミックの売り上げが落ちるだろうと想定したが、長時間の立ち読みを防ぐことで得られるメリットを考えてみた。
- 駐車場の回転率向上
筆者の店舗には、立ち読みをする人も車で来店する。長時間立ち読みする人が増えれば、狭い駐車場に車はあるが売り上げにならないという状況になる。特に昼間のピーク時間にやられると、最悪なのだ。
- コミックのロス削減
立ち読みのお客様が買い物をする利益高より、ロスが発生することのほうが店にとってはマイナスである。特に、本やタバコといった利益率の低い商品群でのロスは防がなくてはならない。
- オペレーション改善
いつ終わるか分からない立ち読みのお客様をレジ前で待っていることは、オペレーション上非効率的である。特に深夜の時間帯は、雑用にレジを離れることが多い。長時間立ち読みされると、このオペレーションが進まないのだ。
以上の3点を改善することを主たる目的として、コミックの売り上げ減少には目をつむることにした。
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