なぜコーヒーを“手渡す”のか? ローソンがセルフ式を捨てた理由:仕事をしたら“コーヒー”ができた(後編)(4/5 ページ)
いれたてのコーヒーをコンビニで買う、そういう人が増えてきた。多くのコンビニがセルフ式で展開する中、ローソンはスタッフによる“手渡し”。その理由は……。
全ての豆を押さえる
土肥: コーヒーの味はどのようにして決められたのでしょうか?
吉澤: 競合のコンビニ、カフェチェーン、喫茶店などの味をデータ化していきました。濃い、薄い、深い、浅い……などと軸にわけて、「お客さまはどんな味を求めているんだろう?」と分析していきました。例えば、スタバは深め、喫茶店は甘め、といった感じでわけていくと、その中間がなかった。なので「中間の味をつくろう」と決めました。
土肥: その判断に迷いはなかったですか?
吉澤: なかったですね。私たちが目指したのはマクドナルドの味に近いのですが、質は高くしていこうと決めました。
土肥: 次に豆探しが始まるわけですか?
吉澤: たくさんのサンプルを出してもらい、みんなで「コレかな? いやコレじゃない」といった感じで、飲み比べました。そしてここからが重要になるのですが、私たちが選ぶ豆は、競合他社が絶対に調達できないモノにしなければいけません。
土肥: 真似されるからですか?
吉澤: はい。良質な豆は、他社もほしがります。なので「この豆でいこう」と決めたときには、農園の人にお願いして、ローソンが全ての豆を押さえました。
土肥: でも、そのときはまだ実験段階ですよね(関連記事)。長野県に2店舗しかないのに、全部の豆を押さえることなんてできるのですか?
吉澤: 確かに、そのときには2店舗しかありませんでした。でも、近い将来は5000店舗以上で販売するので、豆を売ってください……と口説きました。
土肥: 先物買いのようですね(苦笑)。
吉澤: 当時、一緒に豆探しをしていた商社の人にはこのように言われました。「吉澤さんは農園の人に『1年後に1000店舗、2年後には2000店舗に拡大するので、豆を売ってください』と言っていた。将来のことなんて分からないのに、あなたの“熱意”だけはスゴかった。私たちはその“熱意”に賭けてみたい、と思ったんですよね」と。この話を聞いたときは、うれしかったですね。
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