連載
あの半沢直樹や安倍首相も……日本社会を埋め尽くす“カエル男”ってナニ?:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
「カエル男」という言葉をご存じだろうか。一言で言えば「奥さんにカネも決定権も支配され、経済的にも搾取されている男」のこと。そのカエル男が今、さまざまな問題を引き起こしているのではないだろうか。
奥さんに支配され、搾取されている男
「カエル男」とは、大阪大学大学院経済学研究科准教授の深尾葉子さんが著した『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』(講談社α新書)のなかで紹介されている概念で、一言で言えば、「奥さんにカネも決定権も支配され、経済的にも搾取されている男」のこと。本コラムで以前紹介した『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』でも詳細に論じられている。
カエルはタガメに捕食されるのだが、この食われ方が目を覆いたくなるほどエグい。まず、物陰に身を潜めたタガメがガバッとカエルの背中に飛びかかり、瞬時に前脚で挟み込んで自由を奪う。次に、長い嘴(くちばし)をプスッと刺してチューチューと血肉を吸う。逃れようと必死にもがくカエルだが、やがて観念してぐったり。骨と皮だけの亡骸になってしまうというわけだ。
この哀れなカエルの姿が、財布のヒモと家庭のイニシアチブをガッチリと握られ、30年住宅ローンをひとり背負うハメになる世の男たちに丸かぶりだ、と深尾さんは言う。
愛する家族のために一生懸命働いてなにが悪い、とカチンとくる人もいるかもしれないが、本書は、サラリーマンをこきおろそうなどという主旨ではない。読んでいただけば分かるが、「夫婦の絆」などの美しい響きでうやむやさにされてきた「搾取と支配の構造」が引き起こすさまざまな社会病理にある。
例えば、本書で「攻撃型カエル男」と位置付ける「半沢直樹」なんか分かりやすい。
関連記事
- サラリーマンを喰い尽くす、“タガメ女”ってナニ?
“タガメ女”という言葉をご存じだろうか。一部の人たちの間で話題になっているが、聞いたことがない男性はその女性の正体を知っておいて損はない。なぜなら無抵抗な男性を……。 - 借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由
国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか? - NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。 - なぜマスコミはインチキをしても「ごめんなさい」と言わないのか
普通の企業ならば謝罪会見モノの不祥事が発覚しても、しれっとした顔でやり過ごしている業界がある。言わずと知れた、マスコミだ。なぜ彼らは意地でも頭を下げないのか。そこには一般人にははかりしれぬ“美学”があったのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.