えっ、「はやい」ではないの? 吉野家が「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」を発売:「うまい・やすい・ごゆっくり」がコンセプト(2/2 ページ)
牛丼チェーンを展開している吉野家は、「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」を12月5日より発売する。戦略発表会の席で安部修仁社長は、これまで追求していた「はやい」からの転換を強調した。
回転率が悪くなる
吉野家は、2013年4月に牛丼並盛を280円に改定し調理法・素材を変えて「うまい・やすい・はやい」の快適軸を追求。食のニーズの多様化に応えてきた。しかし新商品は「うまい・やすい・ごゆっくり」というコンセプトに変更。客の在店時間も牛丼並盛の7〜8分から15分から20分へと伸び、回転率が悪くなることも予想される。
一見矛盾するように見えるが、「提供までの時間はそのままで、お客さまにはごゆっくり自分流の楽しみ方をしてもらいたい」(安部社長)と食事を落ち着いて楽しんでもらう――そんな利用シーンを生み出したい考えだ。「21世紀の新しい吉野家作りをする上で、在店時間は短ければ短いほどよいという考えからの転換は欠かせない」と決意をにじませた。
発表会では、タレントの宮川大輔さんが出演する新CMを上映。宮川さんと歌手・タレントの辻希美さんがトークセッションに登場し、12月2日を「いいフーフーの日」とした「鍋はじめ式」を実施。用意されたコタツに入って新商品に舌鼓を打った。
辻さんに食べさせてもらった宮川さんは「役得です」と述べ、「すき焼きはご馳走。それが580円で食べられるのはスゴい。1人ですき焼きを食べることはなかなかないと思うので、手軽に身体の芯から温まってもらいたい」とアピール。「週3〜4回は鍋をする」という辻さんも「チゲは子供がいると大きな鍋にできないけれど、これならば一人前で楽しめます。家族そろって来てもらってもうれしいですね」と話した。
吉野家は今後、ヘルシー商品の充実や女性・ファミリー客への拡大など、ニーズの広がりへ対応する戦略を進めていくという。安部社長は2014年4月の消費増税をにらみ「(来年にかけて)価格はアップトレンドの傾向だろう」と予想。高付加価値商品の投入の成否が注目される。
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