2013年のベストセラーは“村上春樹”……じゃなかった:自己啓発、教養分野が人気
トーハンが2013年のベストセラーを発表。1位は深夜販売などで盛り上がった村上春樹の新作長編ではなく……。
2013年に最も売れた本は――。出版取り次ぎ大手のトーハンは12月2日、2013年のベストセラーを発表した。集計ジャンルは総合、文庫総合、単行本(文芸/ノンフィクション他/ビジネス/ゲーム関 連書/児童書/実用書)、新書(ノベルス/ノンフィクション)、全集の5部門11分野にわたるが、ここでは総合、文庫総合、ビジネス、ノンフィクション他(単行本)の4部門を紹介する。
総合ランキングでは、『1Q84』以来3年ぶりの新作となった村上春樹の長編小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をかわし、薬に頼らない健康維持を訴えた実用書『医者に殺されない47の心得』が1位となった。3位には2012年の総合ランキングで1位となった阿川佐和子著の『聞く力』がランクイン。2013年上半期に話題となったドラマ「半沢直樹」の原作の続編となる『ロスジェネの逆襲』も5位に入っている。
文庫はメディア化作品が上位を占める
文庫総合ランキングではメディア化作品が多くを占めている。1位の『永遠の0』は2013年12月21日に映画が公開することもあり、2012年よりもランクを大きく上げて首位に立った。3位に入った『真夏の方程式』も映画化した作品だ。ドラマ「半沢直樹」の原作『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』は2位に、『ビブリア古書堂の事件手帖』は6位にランクインした。
このほか、ビジネス書ランキングでは『スタンフォードの自分を変える教室』が首位に立ったほか、「今でしょ!」が流行語となった林修氏の著書が2冊ランクイン。ノンフィクションジャンルでは、宗教団体が出版した本が上位に入っている。
ランキングの集計期間は2012年12月〜2013年11月。トーハンは「今年はダイエット本が入らず、体の内側から健康を志向する書籍や、自己啓発、教養分野など人の内面に訴える書籍が目立った」とコメントしている。
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