これからの時代に必要なのは? ビームス創造研究所の青野賢一さんに聞く:働くこと、生きること(前編)(1/3 ページ)
セレクトショップ「BEAMS」でクリエイティブディレクターを務める青野賢一さんは、一体どんな仕事をしているのだろうか。BEAMSで働くことになったエピソードのほか、仕事の壁を乗り越える方法などを聞いた。
働くこと、生きること:
終身雇用が崩壊し、安定した生活を求め公務員、専業主婦を目指す人が一定数いる一方、東日本大震災などを経て、働き方や仕事に対する考えを大きく変えた人は多く、実際に働き方を変えた人も増えている。仕事一辺倒から、家族とのかかわり方を見直す人も多くなっている。
さまざまな職場環境に生きる人々を、多数のインタビュー経験を持つ印南敦史が独自の視点からインタビュー。仕事と家族を中心としたそれぞれの言葉のなかから、働くとは、生きるとは何かを、働くことの価値、そして生きる意味を見出す。
この連載『働くこと、生きること』は、2014年にあさ出版より書籍化を予定しています。
プロフィール:
青野賢一
1968年東京生まれ。明治学院大学卒業後、ビームスに入社。販売、プレスなどの業務を経て、2010年より「ビームス創造研究所」クリエイティブディレクター。執筆、選曲、各種ディレクションを通じて、 ファッションと音楽、文学、アートを繋げる仕事を手掛ける。現在、文芸誌『IN THE CITY』やWebマガジンなどで連載を担当。著書に『迷宮行き』(BCCKS 天然文庫)がある。
「肩書きから、僕がやっていることは推測しにくいと思います。実際、僕が所属している部署はなにをやるかが決まっているわけじゃないですし。基本的には社内の仕事ではなく、個人のソフト力を利用して外の仕事をすることを求められているんです。よく冗談で言っているんですけど、傭兵部隊みたいな感じですね」
衣料や雑貨のセレクトショップ、BEAMSでクリエイティブディレクターを務める青野賢一さんは、自身の仕事についてそう説明する。確かにその内容は分かりにくいかもしれない。
「具体的には大学や専門学校の講師をやったり、イベントなどに参加して対価をいただいたり。うち(BEAMS)は小売りの会社ですけれど、今後はそれ以外のチャンネルも視野に入れていく必要がある。だとすれば、これからは“ソフト力”だろうと。つまり『人の持っている力みたいなのをビジネスにできないか』ということで、2010年にいま僕がいる部署(ビームス創造研究所)ができたんです」
「2000年以前くらいからセレクトショップも増えましたけど、もはやモノで差別化するのって難しい。じゃあなにが売りなのかと考えると、力を入れるべきは“人間”だと思うんです。人が会社の大きなリソースのひとつなので、そういうところをうまく伝えていくためにビームス創造研究所があるわけです。でも、こういう部署を持っている小売りの会社って、あんまりないと思うんですよ。すごく珍しい」
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