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“葬式鉄”に学ぶ、不要なモノと別れる方法杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

鉄道路線や寝台特急の廃止が決まると、全国から鉄道ファンが集まってくる。そうしたファンのことを“葬式鉄”と呼ぶ人がいるが、彼らが行う儀式にモノとの別れ方の手本があるかもしれない。

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なぜモノを捨てられないか

 九十九神という思想は、モノを大切にするという美徳につながる。しかし、モノを捨てられない」という悩みも抱えた。さて、あなたの部屋、あるいはオフィスを見渡してほしい。書けなくなったボールペンやフェルトペンが引き出しの中に残っていないだろうか。それをペン立てに挿したまま、そのうちに手にとって、ハズレくじを引いたみたいに苛立ったりしていないだろうか。有効期限が切れたお店のスタンプカード、フチのかけたマグカップ、去年のカレンダー、鉛筆がないけど消しゴムがある。冷蔵庫に開封日不明の飲みかけペットボトル。弁当の醤油差しがたまっていたりしないだろうか。

 部屋の片付けが得意な人は、こうしたモノを躊躇(ちゅうちょ)なく捨てられる。しかし私はダメだ。ちり紙やペラ紙1枚なら躊躇なくゴミ箱へ入れられるけれど、少しでも手間がかかったモノは捨てられない。菓子の折り詰めの箱、お店でもらうツヤツヤの紙袋もたまる一方。使い道がなくなったケーブル類はツバメの巣のようになっている。トイレットペーパーの芯でさえ……あ、これはズボラなだけか……。

 ハムスターなど二度と飼うつもりがないけれど、飼育セットの檻は、もう10年も棚の上に鎮座している。まるで神棚だ。どう考えても今後は使い道のないモノ、不具合があって使えないモノ。それらが部屋を侵蝕している。レジ袋もかなりたまっていたけれど、エコバッグを使ってもらわないようにして、在庫はゴミの仕分けに使い出して減ってきた。

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