年末年始のコンビニは“コロコロ”変わる――なぜそんなことができるの?:ご一緒に“おでん”いかがですか(3/4 ページ)
クリスマスが終わって、さあ次は正月の準備だ――そんな人も多いだろう。コンビニの売り場を見ても、今は正月100%といった感じ。昨日まではクリスマス一色だったのに、今日は正月一色に……。売り場を変幻自在に操れる背景には、一体何が?
「傘」は邪魔な存在?
コンビニの弱点は「売り場面積が狭い」「小口で発注しているので、値下げが難しい」――。この2つが挙げられるが、その一方で弱みを強みに変えているケースもある。
「あれ? この前来た時にはあったのになあ」――こんな思いをしたことがある人も多いだろう。なぜこんな思いをするかというと、その時期にしか販売しない商品があるからだ。その代表格とも言えるのが「傘」。
近所にあるコンビニをよーく見ていただきたい。一部の狭い店では、雨が降らないと傘を売り場に並べない。なぜそんなことをしているかというと、販売データが「雨の日しか傘は売れない」と示しているからだ。コンビニで、晴れの日に傘を買う人はほとんどいない。雨が降って、「あ、オレ、傘持ってないや。近くのコンビニで買おう」という人が多い。なので晴れた日には、傘は邪魔な存在でしかないのだ。
さて、売り場が変わるスピードが最も速いのは、年末年始である。クリスマスまでは、洋風のモノがよく売れる。例えば、ワインが最も売れるのは、この時期なのだ。
しかしクリスマスが終われば、日本酒が売れ始める。もちろんお酒だけではなく、食べ物も同じように嗜好変化がうかがえる。例えば、パスタよりもそばが好まれるのだ。
では正月はどうなのか? 多くの人は「和風」と思われるかもしれないが、実はそうでもない。1月3日あたりから「和食」に飽きるのだろうか、「洋食」のモノが売れ始める(余談だが、「おせちに飽きたらカレーもね」というキャッチフレーズは、消費者の嗜好の変化をよくとらえている)。
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