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ご存じ? バス停留所で生まれた、新たなビジネスモデル杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)

自宅の最寄りのバス停が、ある日突然カッコよくなった。屋根がつき、ベンチが付き、ガラスの掲示板にバスの情報がしっかり掲載されている。壁にはオシャレな広告も入っていた。最近、都内ではこのスタイルのバス停が増えているようだ。仕掛け人は……。

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バスシェルターの設置条件

 エムシードゥコーのB-Stop(R)はその後、2004年に横浜市で、2005年に名古屋市と神戸市でスタート。東京都では2010年から始まり、国内では38都市目の取り組みとなった。都内在住の私にとっては最近の驚きだったが、実は全国では10年の実績を持つ仕組みであった。

 エムシードゥコーによると、バスシェルターは同社がバス運営事業者に提案する場合と、バス運営事業者から同社に要請される場合があるという。バス運営事業者が民間企業の場合は事業内容の合意にいたった時点で契約。バス運営事業者が自治体の場合は事業公募、事業者選定という過程を経て、契約締結となる。契約後から設置まで、最短でも約1年程度を要するという。「道路占用許可」及び「道路使用許可」、そして上屋という建築物を設置するための「建築許可(建築審査会)」、「建築確認」、「完了検査」、広告を掲出するための「屋外広告物許可」などの手続きが必要だからだ。

 バスシェルターの設置条件は主に2つある。ひとつは構造物に対する条件だ。バスシェルター設置後の歩道の有効幅員が2メートル以上で、交通量や交差点からの距離など、道路環境に応じて安全性が保たれること。もうひとつは運営上の条件で、バスシェルターの広告収入が期待できる場所、バス路線であること。バスシェルターの設置や管理はエムシードゥコーが広告収入で負担するため、広告価値のあるバス路線が条件になる。

 広告収入で賄(まかな)うというビジネスモデルであり、バス停やバス路線には広告価値が求められる。従って、バスシェルターは赤字ローカルバス路線に副収入を期待する施設ではない。しかし、バスシェルター自体はバス停の情報量を増やし、バスの利用者増を期待できる設備だ。この手法にローカルバス路線再生のヒントがありそうだ。また、バスだけではなく、タクシー乗り場や各地で導入が検討されているLRT計画などにも応用できそうだ。

 日本初の路線バスは1903年に開業したという。それから110年が過ぎて、バス停の改革が始まった。次回は運営面、バスシェルターのデザインや広告展開の仕組みを紹介する。

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